なぜ「優秀社員」だけだと失敗するのか | ヤサグレもんの戯言

なぜ「優秀社員」だけだと失敗するのか

◼️なぜ「優秀社員」だけだと失敗するのか

選定基準は"絶対的なスキル"の有無


何が勝ち組と負け組を分けるのか。雑誌「プレジデント」(201736日号)の特集「『働き方』全課題60」では、「超一流の仕事術 全解明」として、より成果を上げるためのノウハウを各方面のエキスパートに取材。今回は、京都大学客員准教授でエンジェル投資家の瀧本哲史氏が「よいチームの作り方」について解説する――。

「抜きんでた成果」をあげたチームの5つの特徴

どうすれば「よいチーム」を作ることができるのか。まず確認しておきたいのは「チームワークのよいチーム」を目標にしてはいけない、ということだ。

チームワークという言葉は、所属するメンバーが互いに協力しあって行動する、というぐらいの意味でしかない。どんな組織にも必要ではあるが、その定義も基準も曖昧模糊としているため、目標とすべきではない。

「よいチーム」のために参考になるのは、「チームアプローチ」という考え方だろう。これはマッキンゼーのパートナーだったカッツェンバックらの著書『「高業績チーム」の知恵』(ダイヤモンド社)にまとめられている。同書では「まあまあ」ではなく、「抜きんでた成果」をあげたチームには、以下の5つの特徴があると論じている。

1)少人数である
2)メンバーが互いに補完的なスキルを有する
3)共通の目的とその達成に責任を持つ
4)問題解決のためのアプローチの方法を共有している
5)メンバーの相互責任がある

「よいチーム」がこうした特徴を持つ理由は、対極にある「ありがちなチーム」を考えるとわかりやすい。「ありがちなチーム」は、洋の東西を問わずよくみられるものだ。そもそも困難な問題でなければ、「よいチーム」を作る必要はない。このため問題解決より、責任回避が優先されるため、メンバーの数は肥大化しがちだ。

また気の合う仲間で集まりたがるので、部署や業務が近いメンバーが中心で、年次や経験でのバランスが重視される。したがって、メンバーの専門性は似たり寄ったりになるか、リーダーの劣化コピーのようになるかのどちらかだ。目標や責任ははっきりしないため、1度チームに入ってしまえば「やってるフリ」でもクビにならず、家族的なつながりに執着する。


「デキるやつ」を集めても「よいチーム」にはならない

こうしたチームづくりの延長で、「社内の優秀社員を集めて、特命チームを作ろう」としても、プロジェクトはうまくいくはずがない。本来、メンバー選定の基準は、相対的な優秀さではなく、絶対的なスキルの有無でなければならないからだ。該当者が社内にいないのであれば、社外から人的リソースを確保すればいい。「社内の優秀社員」という設定から間違っている。

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課題はいつ降ってくるかわからない。「よいチーム」が編成できるように、日頃から「人材のポートフォリオ」を整えておくといいだろう。社内外、業種や職種、公私を問わず、自分の持っているリソースやバックグラウンドとまったく異なる人とつながっておくといい。社会学者のグラノヴェッターはそれを「ウィークタイズ(弱いつながり)」と名付けている。

その点で意外に有効なのが会社や学校の「同期のつながり」だ。自分の仮説を、違う部署、会社、業界の論理から、遠慮なく否定してくれる人は、よいチームに欠かせない。それは頼もしい「仲間」になる。


◼️結論

「相対的な優秀さ」より、互いに補完する「絶対的なスキル」が重要


瀧本哲史

京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。東京大学法学部卒業。マッキンゼー勤務を経て、エンジェル投資家に。『ミライの授業』など著書多数。


◼️解説


マネジメントを少しでも、経験していれば、ありがちなチームにある、結果が出ないジレンマの壁にぶち当たるはずである。


個人的経験値において、クセのあるメンバーとは、個人それぞれの三視(視野、視座、視点)が異なり、時として思いがけない結果を生み出すものである。


その為には、それらのメンバーをまとめる、特殊な運営方法が求められるもの。


チームメンバーが、何となく仕事をするのではなく、必達の仕事であるという意識が重要なのだ。


優秀社員とは、言い方を変えると、無難目標達成社員と言える。個人として、売り上げ目標を達成し、会社に対して利益貢献しているのだから、問題ない。が、特定の、自分にとって、やりやすい場所での戦いをしがちである。


それは、少なからず、過去の上司の仕事手法のコピーに過ぎない。


そうではない、個人それぞれの持つ得意ジャンルを大きく活かせるチーム編成こそが、補完環境と言える。それが出来れば、個人ではおおよそ達成出来ない、巨大な課題解決が出来、リターンも大きいのである。


そういったチーム編成を組む為には、マネジメントする側が、なあなあのチーム作り、無難なチーム作りという考え方を捨てる事から、スタートする。


もし、プロジェクトメンバーを見て、無難な編成だな?と感じた場合、マネージャーの資質を疑うべきである。