新しい年になりました。
本年もどうか宜しくお願い申し上げます。

{FF0CCD1A-564B-4FF1-9324-D3BA22392A8A}

ふとしたきっかけで、『累』(かさね)という漫画を知り、読んでみました。

昨年、実写映画化もされたそうで、劇中劇の『サロメ』の七つのヴェールの踊りの動画を見た事で、その映画の原作である、この作品を知りました。

{CB55286A-D6CF-4F6F-A634-539F281CD334}
{C5825ED6-C15D-46C9-BCA5-6DA3269CA650}
{D0768A30-9C49-43B3-AE1F-B09155C66DD9}
{994075BC-BB46-4DD6-AB01-E800CE6693E6}

松浦だるま作『累』全14巻。

二目と見られぬ醜い貌のかさねが、母の出身の村に伝わる不思議な口紅で、他人の美しい貌を奪い、女優として生きて行く物語。

かさねの亡くなった母は、伝説の女優といわれた淵透世(ふちすけよ)。母もまた他人の美しい貌を奪い、大女優として君臨して来た。

……なかなか徹底的には議論し尽くせない「美醜」について……。
そこに演劇の世界を絡めています。

テーマが深いのに、惜しいのは、美醜につきまとう差別や悲劇について問う意欲作としてスタートを切ったと思うのに、

途中から因果応報の話にしてしまったような気がします。

しかし、多くの人に、考えるきっかけとなれれば、素晴らしい事だと思います。


顔や姿形は、鏡を見ない限り、自分では見る事は出来ない。
自分の顔や姿形は、他人を通して感じさせられる。

『累』の中にも沢山の印象に残る言葉がありました。
「醜さも美しさも異形の者という意味では同じ」といった言葉もありました。

なるほど、三島由紀夫も「醜女も美人も他人に見られる事に疲れている」という意味の事を書いていました。



『累』(第2巻・演出家   羽生田の台詞)

「虚像(にせもの)を実像(ほんもの)に見せるのが演劇だ」

「観客だって化かされるつもりでわざわざ来るのさ」
「にせものの空間がほんものに見えるように   俳優のうそがほんとうに聞こえるように仕上げる」
「演出ってのは   そういう事をやるんだ」

「面白いのは
ときに   にせものがほんものを超えてしまう事だな」