突然のご縁があって、昨日、文学座附属演劇研究所58期生の芝居を拝見して来ました。
ご縁というのは、お客様が立ち寄ったカラオケ店で、バイトの青年の接客があまりに良いので、「何をしている人?」とお客様が話しかけた事で、彼が文学座附属の58期生だと分かり……
昨日は、私も誘われて観に行って参りました。
ご縁ですね。
いや〜〜
本当に行って良かったです。
文学座の研究生の芝居という事以外、何も知らずに行きましたが、演目は、宮本研の『俳優についての逆説』。
本来は、一人芝居らしいのですが、それを研究生31人で分割して、
それに、文学座がプラスしたのでしょうが、研究生本人の自作自演の一人芝居を一人3分間……てっきりテーマは講師から出ているのかと推測していたのですが、
全く0から自分で作り、演出も役者本人 だそうで……吃驚です。しかし、なかなかレベルが高いものが多かったので、余計に吃驚。
観ている私も、何故か力んだり、息苦しくなったり、複雑な胸中になったり……と不思議な貴重な体験でした。
それこそ、ご縁に感謝しかありません。
『俳優についての逆説』とは、フランスの哲学者ドニ・ディドロの著作の題名だったのですね。不勉強で知りませんでした。
大変、興味を持ったので、調べてみたいと思います。そして、宮本研のオリジナル台本が読みたいです。宮本研戯曲集第2巻に収録されているようなので、探してみます。
役者にとって脚本家も演出家も敵だ!!といった台詞も面白い。
「椅子は、つねに椅子それ自体です。自立しています。だれの手もかりずに、みずから立っています。」
「もしそうだとしたら、つまり、もし、椅子がだれの手もかりずにそれ自体として自立しているものだとすれば……役者はいったいどうなのか。」(宮本研『俳優についての逆説』)
最後に、この公演の構成・指導・演出をなさっている坂口芳貞の桜美林大学での2年前のインタビューを読んだので、少し抜粋します。
「若い仲間と一緒にやったんだけど、一人芝居を構成して作ってみたら俳優としても面白いし、自分たちで演出すれば、お互いに自分の持ち味を出せるようになるんじゃないかと思ったのがきっかけだったかな。演出が自己主張するよりは、役者が自分の持ち味を最大限に生かした方がきっと面白いだろうと思ったんだよね。」
「今言ったように、個々の俳優の持ち味を最大限に出すということが一つ。そして、実生活とあまりに遊離したことはやらない。現実的なリアリティをいつも持っていないとつまらないし、僕は芝居くさい演劇はあまり好きじゃないんです。言葉を変えれば表現に淫するというか、淫らになるというか、“表現のための表現”にならないように気をつけながら演出をしています。演劇の魅力って、関係の魅力なんだよね。見えないものからも、なにか面白い香りが漂ってくるってものだから、目に見えないものを信じるか、信じないか、ってことを考えています。で、最終的にはギリギリまで粘るということを常に念頭に置いています。」(坂口芳貞)