愛
深夜
おまえの寝息を聞いていると
宇宙創造以来の歴史が
ふとんを着て
そこに居る気がする
生きていることの
奇怪さ
美しさ
あわれさ
おまえの寝息がやむと
大地に穴があいたように
寒くなる
さて
おまえの乳房をつかんで眠れば
地球ははじまり
地球はおわり
(『そうか、もう君はいないのか』城山三郎)
白川道と19年間事実婚であった中瀬ゆかり(新潮45元編集長)の文章もいくつか読みました。
白川道に先立たれて、中瀬ゆかりは、伴侶を失った人が書いた著書を沢山読み耽っていて、その中に、この『そうか、もう君はいないのか』もありました。
城山三郎の著作『粗にして野だが卑ではない 石田禮助の生涯』を私は大好きで、これまで沢山の人にも勧めて来ました。
その城山三郎が亡くなってから、発表された『そうか、もう君はいないのか』……
白川道から中瀬ゆかり、そして、城山三郎に繋がり、
いま読み始めました。
冒頭は、城山の妻容子さんの愛らしい言動に大爆笑させられました。本を読みながら、まさか大爆笑とは……。
『愛』というこの詩は、中盤にありました。涙が流れました。