藤原行成「白氏詩巻」の臨書。
全臨といえど、文字数少ないです。
王義之、小野道風の書法を勉強した行成ですが、行成独特の端正美があります。
それを堪能できる古筆です。
筆の動きが分かりやすく、慣れてくると、リズムが大変心地よいです。
何度目かの臨書ですが、今回、この部分の意味を調べてみました。
上陽宮(唐の宮殿の名前)の中で暁の鐘を聞いた後、天津橋のあたりで沈む前の月を眺める。
この広々とした情景はまるで下界ではなように思われ、ゆらゆらとしたこの身はまるで虚無の世界にいるようである。
やがて天の川が瞬いて太陽がようやく昇りはじめ、楼閣の上部が朝靄の上に見えている。
この場にあなた方と出会い杯を傾けて、地上にも神仙がいるのだと初めて知った。
参考にした本
岡村繁「新釈漢文大系第107巻 白氏文集十一」
こんなことが書かれていたんだ。
最後のところ、「笑うなかれ、笑うなかれ」と書く行成。
こういった行成自身の言葉を読むと、なんだか温かい感じがします。