その一本の線の書き方 | 神戸市垂水区 ペン字・通信添削講座・硬筆書写技能検定・毛筆書写技能検定

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今日は、その一本の線の書き方が分かっているか、というお題でブログを書きます。

 

 

まずは、私のエピソードから。

 

書道(ペン字)を始めて間もないとき、友人から「ちょっと私の子どもの名前を平仮名で書いてみて。きれいな字を子供に見せたい!」と言われました。

 

手紙などではなく、字を見せることが目的で字を書くという初めての経験。


 丁寧に書きました。


しかし、


いざ、友人の前で書いてみて思ったことは……

 

「あれ、この平仮名ってこれで良かったのかな。適当にしか分からない」


ということでした。

自分が、適当に字を書いているということを、自覚したのです。


もちろん、「丁寧に書こう」と意識することはできますし、そう意識して書いたのですが、「丁寧に書く」ということは、字の書き方が分かっている、ということとはまた別なのだ、と、このとき初めて気づきました。

 

 

友人は喜んではくれましたが、私は「自分は字を適当にしか理解していない。これでは駄目だ……」とズドーンと落ちてしまいました。

 


字の書き方を一つ一つ理解していかないと、人に書いてみせるどころか、教えていくことなどできるはずがないと思いました。


 

割とすぐに、ゴールに到達しそうだと思っていたのが、一気にゴールが遠のいたような気分になりました。


ズドーン。

 

神戸から東京まで新幹線でビューンといける、と思っていたのが、自転車を漕いで行かなくてはいけないと分かったような、そんな気分でした。

 

岐阜羽島あたりまでラクラク進んでたようなイメージだったのに、実はまだ自転車で垂水から須磨あたりまでしか進んでいなかった、というような。

 


この大きな気づきは、非常に苦い経験にはなりましたが、その後の練習が変わっていきました。

 

「一本、一本の線をどう書くか、自分でしっかり理解できるように、練習していこう」と。

 

 

そして、それは今に確実につながっています。

 

 

例えば、平仮名「あ」の字のすべての線を、言葉で説明しながら美しく書けるか。

 

そう問われたときに、「あれ、一画目って、まっすぐ書く?下にそらせる?長さは?場所は?」というところから立ち止まれます。



「分かっていない」ということが分かれば大きな進歩。

手本や辞書など、信頼できる本で、その線、その字の書き方を確かめていきます。

 


ところで。

SNSなどで、字の書き方を紹介している方が多数いらっしゃいますが(私もたまにブログに書きますが)、そうやって字の書き方を説明するというのは、誰かのためだけでなく、自分の練習にもなります。


説明してみると、説明できないところ、自分でよく分かっていないところが浮き彫りになったりします。それを調べていくうちに、書き方が分かるようになってくるのです。


一本一本の線をどう書くかよく調べて、字の書き方の法則が当てはまる部分がないかよく考えて、自分の言葉で、書き方を説明してみるというのもいいかもしれません。