Youtubeの占いや心理カウンセリングの動画を見るのが好きなのですが、最近若い男性による恋愛指南チャンネルが面白いと思います。女のどういう仕草に男はぐっとくる? セフレから本命彼女になることは可能? マッチングアプリで軽くあしらわれないためには? ラインの頻度は? 浮気されたときのベストな対応は? 
私から見ると友達の息子さんくらいの年の男の子たちが、前のめりになって( あるいは気障になりまくって)「男の気持ち、分かれ!」と口に泡して熱弁しているのは、なかなか興味深いです。ちょっと前までオムツしてたの、おばさん知ってるわよ、とか意地悪に突っ込みたくなります。

「デートにはスカートが嬉しい」「教室に入ってきて、ジャケットを脱いだ時に身体にピッタリしたセーターを着ていると最高」「ちょっと汗ばんでいたら本当に最高」などなど…どのYoutuber君も語る内容は結構似通っているので、彼らの実感が込められているのだと思います。

 

男が快いと思う振る舞いや装いや言動を女にしてほしい…というのは「金星」的です。



好み=金星ですから、それぞれの男子のフェティッシュや性の目覚めの経験が、「つきあいたい女性像」につながって、夢いっぱいの願望を彼らは語りつくします。「自分が若かったとして、こんな膨大なルール全部守れるかしら」と思いながら見るのですが…途中からアホらしくなってきます。

 

男女がお互いにホットな気分になって恋して合体するには、金星と火星が干渉しあわなければ始まりませんが、実際のところ最も幼い星のひとつである金星しか機能していないというパターンも多い。「男のチャートの金星のサインを調べて、ファッションやメイクや言動を作るといいよ」というアドバイスには根拠があります。獅子座金星をもつ男性にはつけまつげと派手目のファッション…魚座金星をもつ男性にはパステルカラーと不思議ちゃんキャラ…。
それでも現実ではなかなか難しいとなると、男性側は自分の金星だけを胸に抱えて、ファンタジーの世界へ逃避します。現代日本で最も多いケースです。地下アイドル、Hなゲーム、アニメ…それはそれでひとつの市場を作っているので全否定できませんが、「なんだかなぁ…」と思います。

応援しているアイドルや野球団が一緒、という「趣味きっかけ」の恋も金星的です。ペアルックというのは金星的で、同じ趣味やカルチャーを共有していて楽しくてたまらないというディスプレイです。大人になるとペアルックも減ってきますが、要は金星の愛というのは、幼い愛だからです。身体のラインが出るセーターを着て汗ばんでいる女がいい、なんて言ってるのは、成長段階的にはティーンエイジャーなのです。

 

とは言っても、いきなり太陽に関与する恋愛を始めるのはハードルが高い。結婚相性には土星も絡んでくることが多いけれど、金星レベルでいちゃいちゃしているよりも、数段現実的で実際的です。自分の人生を方向づけ、限定し、成長させてくれるのが土星ですから、トランジットの土星がネイタル太陽に重要なアスペクトをとったときに結婚を決める二人も多いです。

 

金星は快い星ですが、どこか夢みているような星でもあり、金星同士で楽しくやっていたカップルには、やがてどちらかの「成長」というテーマがやってきて、別れなければならない瞬間がやってくる。ペアルックはもうおしまい。金星同士の恋を死ぬまで貫く二人もいるでしょう。少し意地悪なことを言えば、世間にとって異様な二人です。

 

金星と火星がからむと、火星の方が若干大人っぽい性質があるのでもっと具体的になります。金星・火星が正確なトラインだと、プロポーズしたりされたりもあるでしょう。恋が始まるにはとにかく金星と火星のスイッチが作動しないとどうしようもないのです。でも、金星と火星である限り、こちらがいくら相性がよくても、それだけでは今一つ真剣さが続かないかも知れません。

 

スピード婚で思い出すのは、ものすごい昔のエピソードですが、松田聖子さんと神田正輝さんの「聖輝の結婚」です。郷ひろみさんとの破局会見で日本中の視聴者の前で涙した聖子さんが、涙も乾かぬほどの速さで映画で共演した神田さんとご結婚した。二人の火星は同じサインでした。火星が同じサインというのは、セクシャルな相性がピッタリということで、それだけでも結婚の引き金になります。聖子さんの火星の近くには木星もいるから、さらに強く作用したのでしょう。
 

長年夫婦をやってきて、人としてのお互いに嫌気がさして、マッチングアプリでセフレを探す大人の男女もいます。本当に肉体の相性がいい人と出会うと、現実のすべてを反古にしてしまいたいという魔境にはまってしまう。幼い星である金星が、人生の後半になって再び猛威を奮うわけです。あのカップルはあのあと、どうなったのかな…と以前鑑定したケースを思い出しました。

 

 

太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」
金星同士で愛し合っていた幼いカップルの、初めての別れを歌った曲に聞こえます。
金星は若い星なので、そこで流される涙も幼く、透明で、さらさらとして綺麗なのです。