コミック誌の編集の方から「漫画界で悲しいニュースがあり、少々気落ちしています」というメールをいただき、その種の報道に疎い私は何が起こったのか最初分かりませんでした。その後、漫画家の芦原妃名子さんが亡くなったこと、TVドラマの台本とご自身の原作との齟齬に悩まれて自ら命を絶ったこと、誕生日を迎えて50歳になったばかりだったことを知りました。
結婚や熱愛などの慶事ならともかく、亡くなった方の星を見るのは気が引けます。でもなぜか胸騒ぎがして芦原さんのチャートを見て…ヒヤリとしました。1974年1月25日生まれの水瓶座。太陽と冥王星がわずかな時間差で水瓶座入りして8日後、お誕生日の4日後に亡くなっています。芦原さんの水瓶座4度の太陽のそばには2度違いの金星がいて、15度の水星、20度前後と思われる月、19度の木星もすべて水瓶座に。5天体が水瓶座にあるのです。双子座28度の土星、天秤座27度の天王星、水瓶座後半度数の月・木星がグランドトラインを形成し、水瓶座の太陽と天秤座の冥王星もトライン。風星座に8つ天体がある水瓶座マジョリティです。

 

水瓶座はおおむねここ数年辛かったし、「冥王星が来たら何かが変わるかも」という期待とともに過酷な2023年後半を過ごしてきたと思います。特に夜明け前(?)の12月から1月にかけては辛く、水瓶座の私自身も疲労困憊の極限の中「頑張れ、冥王星がやってくるまで…」と溺れる者が水掻きをするように生きてきました。1/21に冥王星がやってきて…実はそのあたりが一番苦しかった。知りたくなかった、知らなければ空元気でいられたようなことを変な形で知らされ、もうお仕舞いだと思いました。「これが冥王星なのか…」とどん底に落ち、でもまだ何が起こるかわからない、と作り笑顔で一日を始めます。すると、デトックスなのか辛い汗がどんどん出てきて、横になって様子を見ていると、ありえないような悪夢を見てしまう。水瓶座のみんなは大丈夫だろうか? 勝手に心配していたところでした。

 

芦原さんのコミックも、ドラマ化された映像も実は見ていないのですが、ウェブのニュース等から事情を知り、水瓶座としては非常に辛い事態だったはずだと痛感しました。「傷つけられた」という感覚はどこまでがリアルなのか。身体を傷つけられた、誇りを傷つけられた、時間を奪われた、財産を台無しにされた…水瓶座は星座のマークが表すように「波動」の星座で、自分が影響を与えている領域すべてが身体です。家族以外の他人さえも自己の領域にあり、それゆえ人を傷つけることを極端に嫌います。
水瓶座が自死を決めるときは、自分の現状の力では太刀打ちできないことに関して、死という犠牲が世界のターニングポイントとなることを目的に行うのだと思う。私自身の中で幾度も訪れた危機を振り返って、そう実感します。

そんなことを言っても、亡くなった方の本当の気持ちは分かりません。74年生まれは就職氷河期世代、ロスト・ジェネレーションで、お母さんのお腹にいたときにはオイル・ショックがあり、魂的に言い知れぬ不安を抱えてこの世に生まれてくることが多い。過剰防衛でワーカホリックになったり、他人の怠惰に対して狭量になりすぎたり、という方をに何人か見てきました。20歳で漫画家デビューを果たした芦原さんは、同年代の中では才能に恵まれた幸運の持ち主だったと思います。

水瓶座は今とんでもなく大変な渦中にあると実感します。自分のところにやってきた冥王星をどう使うか…生きてるうちに冥王星がやってくること自体が稀有の体験です。
私はよく自分が死んだ夢(?)を見るのですが、身体を失ったのに意識だけがある…という夢が一番恐ろしかった。古いラジカセか何かのスイッチを押そうとしても、身体がないので押せない。「あんなに簡単だったことが、出来ないなんて」と身体が恋しくなり、「どんな不細工な身体でもいいから肉体を得たい」という実感が押し寄せ「誰かに乗り移って再び生きよう」と決意するのです。こんな異常な夢を見たせいで、自らの運命に納得がいかないと感じたときも、諦めて生きようと思ったのです。「肉体の苦痛が消えても、魂の苦痛は消えない」とシュタイナーの本にあったのを何度も思い出します。