NHKで今年没後50年の三島由紀夫の特集をやっていて、興味深く見ました。今、三島が若者に受けているのだという。特に今年は山羊座マジョリティの年ですから、山羊座の三島由紀夫がブームになるのかも知れません。美輪明宏さんを始め、生前に親交のあった編集者やボディビル仲間が貴重な証言を寄せていました。

 

 

映画にも出演していた三島由紀夫。マルベル堂のプロマイド。

 

私も学生時代、三島さんの小説に夢中になっていました。国語辞典を丸暗記していたという過剰なボキャブラリーは、読むほうも辞書を片手に取り組まねばならず、ライターの仕事を始めた時は「三島さんが自分を育ててくれた」と勝手に納得したものです。「仮面の告白」「禁色」「真夏の死」「金閣寺」などがお気に入り。難しすぎて読めていない作品の方が多いのですが、俗っぽくて面白いエッセイなどもあり、生前は流行作家だったのだなと改めて思います。

1925年1月14日生まれの山羊座。度数は離れていますが、木星も山羊座です。火のサインの天体が多く、5天体が火のエレメント。土星・天王星・冥王星は水のサインでグランドトラインを形成しています。直観と感情が発達していた人で、傍にいた人々は魅了されていたのではないでしょうか。とても素直で、感情を隠せない人だったように思います。

 

月は恐らく乙女座ですが、病弱で「折り紙やままごとばかりさせられ過保護に育った」というエピソードは、月・乙女座っぽい。貴族や華族ではなかったけれど、上品な家庭だったはずです、
 

少年時代の三島由紀夫。(本名・平岡公威)

 

月・乙女座になると片付けが苦手になりますが、仕事場の写真を見ても占星術は正しいと思います。物書きは資料が煩瑣になるのでどうしてもきちっとした仕事場を保つのは難しいですが、それにしたって…という月・乙女座ぶりです。


 

番組では、三島が虚弱で根深い肉体コンプレックスを抱いていたことを強調していましたが、ボディビルや肉体改造というのも、月・乙女座っぽいです。女性だと、月乙女はアンチエイジングやダイエットにすさまじい集中力を発揮します。肉体を管理すること、人に認められる外貌であることが何より大事になるのです。

天才・三島由紀夫の場合「壊すための肉体」を創造していたわけですから、常人のスケールからはみ出していますが、自分の姿を完璧に管理したいという「美意識」は、むしろ女性的でもあったと思います。

 

 

三島のチャートを見ると、どうも太陽が弱い。月や火星のほうがインパクトがあります。オーブ緩めに取ると牡羊座の火星とスクエアとなるので、ああいう過激な最期になったのかなとも思います。

番組で「とても山羊座っぽいな」と思ったのは、ノーベル文学賞に執心していたというくだりです。毎年受賞を噂され、先に恩師の川端康成が受賞すると、表向きには祝福しつつ、美輪明宏さんには本音らしき言葉を漏らしていたといいます。山羊座は、「プライズ」に弱い。というか、賞やトロフィーに執着します。「そんなものこっちから突き返してやる」と美輪さんは言ったらしいですが、山羊座はそういうわけにはいかない。本能が「賞」を求めているからです。

 

坂本龍一さん(山羊座)が「ラストエンペラー」でアカデミー賞音楽賞を受賞したとき、ライブでオスカーを振り上げて演奏し、同業者から顰蹙を買ったという話をきいたことがありますが、山羊座だから仕方ないです。双子座のボブ・ディランがノーベル文学賞を「別に…」という顔をして喜ばずに受けた感覚とは、対極のものがあります。

 

横尾忠則さんにインタビューしたとき、霊となった三島さんが頻繁にコンタクトをとってくるという話を聞きました。横尾さんはUFOもよく見らていますが、三島さんもそうでした。水星・金星のコンビは霊感を示しますが、三島さんは水星・金星が射手座の29度という特徴的な度数で重なっています。頻繁に、多次元と交信していたふしがある。2020年になって三島文学が異例のヒットとなって若者の間に浸透しているのも、作家の多次元的な魂と関係しているような気がします。

 

昨日は神奈川県民ホールで、三島をテーマにした『M』というバレエが上演されていました。振付家のモーリス・ベジャール(1927-2007)も山羊座。これまでに何度も見ましたが、三島という存在をこれほど鮮やかに表現した舞台作品はないのではないかと思います。三島を演じるのは少年で、実母と競うように彼を溺愛し育てた祖母も登場します。


モーリス・ベジャール『M』 東京バレエ団

 

振付家モーリス・ベジャール。三島と同じ山羊座で、三島と同じ11月に亡くなった。

 

三島由紀夫が45歳で自決しなかったら、谷崎潤一郎のような作家になっていたかも知れない…という評論家もいます。山羊座の生き方は、どこかパニック的です。表現も、四方八方から押し寄せてきたものがガス爆発するような世界になります。山羊座のシンボルが牧神(パーン)で、半獣半魚であるのは、神々の宴会中に現れた怪物を見て驚いたため、パーンが半分だけ魚に変身して逃げようとしたからだといいます。「パニック」「パンデミック」もパーンが語源。山羊座の年とパンデミックが重なったのも、何か意味深な感じがします。

 

おまけですが、三島夫人である平岡瑤子さんは1937年2月13日生まれ。夫婦で何度も海外旅行へ行くほど仲睦まじかったといいます。三島さんが同性愛者だったことは有名ですが、瑤子夫人は妻として愛されていた人だと直感で思いました。とても聡明なお顔立ちで、漫画家の竹宮恵子先生に似ていらっしゃるのですが、瑤子さんも竹宮さんも同じ2月13日生まれの水瓶座なのです。

明治記念館での結婚式

 

三島文学の最高傑作『豊饒の海』をまだちゃんと読めていません。あまりに巨大で偉大な作品です。この先、自粛が厳しくなったら部屋の中にこもって、この作品とじっくり格闘してみたいなと思いました。