『おカネの切れ目が恋のはじまり』の最終回を見ました。7月に亡くなった三浦春馬さんは回想シーンのみに登場し、春馬さんがこの回の収録に参加できなかった「現実」と、猿渡慶太が「ある朝ふらりと出かけていつか帰ってくる」という「虚構」が不思議な形で溶け合い、なんとも言えないもの悲しさを醸し出していました。全8話の脚本を4話に書き換えてのエンディングだったそうですが、多くの台詞が今は亡き春馬さんへの、俳優さんたちからの呼びかけに聴こえたのでした。

 

占い・スピリチュアル関係のYoutubeでは、タロットや霊感で春馬さんを降霊させる映像がたくさんアップされていて、かなりのヒット数を記録しています。そんな成り行きに対しても、春馬さんはどこか寛大な心で見ているような気がします。死に関する様々な疑惑も流れていますので、ファンが霊やお告げに頼りたくなるのもわかる。私は前世は見ませんが、それでもホロスコープを見て「血統のいい人」にはある徴があると思います。春馬さんが生まれながらの「王子」のオーラを放ち、「高貴で神聖な人がエンターテイナーをやっている」という印象を与えていたのは、与えられた魂に由来していると解釈します。

 

春馬さんは過去世において、エリート権力者であった…というリーディングには説得力があります。重要な社会天体が山羊座にあり、太陽と月はファイアーサインで調和。戦国武将のようでもあり、一国の国王でもある。こういう魂は、過去に最高権力を行使する経験をしているので、ファンに対しても「自分の国の愛すべき民」という感覚を抱きます。分け隔てなく親切にしたいし、もう権力者は経験しているから、わざわざ自分が偉いということを証明する必要がないのです。芸能界においても、彼ほどの一流だったら、若くてももっと「威張って」いてよかったとも思います。

 

『カネ恋』の第一回を見たとき、金持ちの坊ちゃんである猿渡慶太の役は春馬さんにあまり似合ってないなと感じました。本人は、大河のヒーローみたいな役をやりたかったのではないか。英雄は過去世で経験済みとはいえ、自分にふさわしいのは「魂が良く知っている役」です。それでも、コメディの世界観を作り上げるために、プロとしての技を総動員して道化に徹していたのでしょう。私自身が春馬さんのような経歴を持っていたら、どうアクセスしたらいいか分からないほど、役作りが難しそうな人物に見えました。

 

最終回を見て「ああ、そうだったのか…」と腑に堕ちました。牡羊座の春馬さんの金星・火星・ドラゴンヘッドは水瓶座にあります。水瓶座の魂は生前に志を完成させないで去ってしまうことが多い。シューベルトは「未完成交響曲」を遺し、リンカーンは暗殺されたのちに奴隷解放が実現されました。創造的な革命を起こしますが、新しすぎて、時間のほうが重くなるのです。「あとは残された皆に頼んだよ」という伝言を遺して去るのは、水瓶座の作法です。

 

水瓶座の存在感は、人型の穴が開いたクッキーの生地みたいなものです。いないけど、いる。周りが「あなたはここにいた」ということを忘れない。ヒロインの松岡茉優さんは2月16日生まれの水瓶座で、春馬さんの金星は水瓶座の28度ですから、仕事相手としてもとても縁が深い人です。春馬さんはこのあたりの水瓶座のラスト度数の女優・アーティストとよく仕事をしています。吉瀬美智子さん(2/17生)、JUJUさん(2/14生)、交際されていた菅原小春さん(2/14生)、多部未華子さんだけ1月生まれですが、彼女も水瓶座です。

 

松岡茉優さんとのラブストーリーが始まるはずのシーンが、春馬さんのラストシーンになり、忘れられない名演として皆の記憶に残りました。松岡さんの月は乙女座・金星は山羊座。とても芯の強い、我慢強い女優さんです。恋がはじまる前に慶太は消えてしまったのに、その後はまるで夫の遺志を継ぐ妻のように見えました。松岡さんの射手座の木星(!)は、、春馬さんの太陽とオーブ3度でトライン。共演の松岡さんの演技を最大限に優先していたという春馬さんですが、彼女のほうも春馬さんに大きなプレゼントをする準備が出来ていました。それが、最終回に顕れていました。

 

お父さん役の草刈正雄さんは乙女座。将来、大河で春馬さんと共演する可能性もあったかも知れません。「息子に厳しすぎたかも知れない」という表情が、寡黙な役柄から伝わってきてじんときました。天秤座のキムラ緑子さんも、過去に春馬さんと共演しています。木村さんの太陽も、春馬さんの金星とトラインです。双子座の三浦翔平さん、蠍座の北村匠海さん、水瓶座の南果歩さんも、優しい表情で「クッキー型の穴があいた」世界を優しく作り上げていました。

 

7/18をめぐっては色々なことが言われており、残されたファンの心を動揺させていますが、蟹座の二度の新月の間の「沼」の間、牡羊座にとっては本当に本当に辛い日であったと思います。春馬さんのネイタルチャートとトランジットの天体の状態を見てもかなりきついですし、月と火星のオポジションをもつ春馬さんの心を思うと、ふだんは理性でこらえている激情を爆発させるような、誇りを損なわれることがあったのではないかと考えてしまう。牡羊座は戦士です。その昔、武将が自分の城を攻められて焼かれたときに、プライドを保つために何をしたかを思い出しました。

 

皆が春馬さんを忘れられないのは、彼の理想主義的な生き方が確実に未来につながっていたからで、世界が彼の思い通り、もっと明るく美しくなる前に、ふっといなくなってしまったから。まだ若いのに、本当に美しいもの、心がこもったもの、洗練された芸術や神聖な思想を深く理解していました。それを自分に与えられた肉体を使ってみんなに伝えようとしていた。凄いメッセンジャーです。

 

三浦春馬さんのネイタルチャートの木星は蟹座にあり、ご自身も家族やお子さんが欲しかっただろうな…と想像します。いるだけで心癒される優しさは、木星の影響です。大雨の後の明るい景色を見るように、若いスターが消えた強い悲しみの後には、透明で軽やかな世界が広がっているような気がしました。すべてを許すような優しい微笑みが忘れられません。