7月6日、吉良よし子トーク集会「STOP!ブラック企業 誰もが人間らしく働ける日本に」が開かれました。集会のレポートです。(※文責S。あくまで発言要旨であること御了承ください)
吉良よし子トーク集会
「STOP!ブラック企業 誰もが人間らしく働ける日本に」
出演 吉良よし子さん(30歳)
特別出演 ワタミ元正社員のイシダさん(仮名)
SHOP99「名ばかり店長」裁判の
元原告・清水文美さん(SHOP99元店長、33歳)
司会 紫野明日香さん、大田朝子さん
(※以下敬称略)
大田 きょうは参議院選挙で大きな争点になっているブラック企業問題を考えていきます。
昨年からブラック企業を告発する「ブラック企業大賞」の取り組み
が、労働組合の活動家やNPO法人、ジャーナリストらによって行われています。ブラック企業大賞企画委員会は、ブラック企業の定義
について、次の2つをあげています。
ブラック企業とは
(1)労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業
(2)パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)
昨年のブラック企業大賞は東京電力で、市民賞はワタミでした。
ブラック企業が社会問題化する中で、国会で史上初の会社名をあげてブラック企業の問題を追及したのが日本共産党です。共産党の山下よしき参議院議員は、「ユニクロでは、入社後3年以内に退社が50%。休職者の42%がうつ病などの精神疾患。若者の能力を生かすのではなくてすり潰す、若者を育てるのではなくて人間を壊す、こんなことを許す社会であってはならない」と国会で追及しました。安倍首相は、「人材として若者を採用した以上は、経営者も責任を持ってそうした人材を育てていくという姿勢が求められている」と回答しています。
さらに、共産党の山下よしき参議院議員は、ブラック企業の実態調査に加え、(1)政府が各企業の新入社員の離職率の調査、公表をおこなうこと。(2)企業が採用募集する際に、新入社員の離職率の明示を義務づけること、を国会において提案を行っています。
紫野 さて、いま問題になっているワタミはブラック企業だと言われているわけですが、実際の労働環境はどうだったのでしょうか?
ワタミで残業月140時間働かされたが
タイムカードは月45時間が上限、3分の1以下の残業にされる
イシダ(ワタミ元正社員) いやもう最悪ですね。自分の同僚は残業140時間で月300時間も働かされていました。残業は月45時間が上限にされていて、それ以上残業しても会社からタイムカードを打たせてもらえませんでした。実際の残業どおりにタイムカードを打ったら会社の利益にならないからと言われていました。
夕方5時オープンだとすると、午後3時にお店に入って準備をするんですけど、平日だと午後3時から午前3時まで開店して、翌日の準備などで午前4時半とか午前5時に仕事がやっと終わります。休日前だと午前5時が店のクローズなので、午前6時頃に仕事が終わります。それに加えて休日に出勤して残業140時間にもなるのです。それで残業140時間をそのまま申告したら怒られるので、残業45時間と申告させられる。仕事が残業45時間で終わらないことはワタミの上の方は分かっているはずです。それを黙認して働かせているのです。
吉良 残業45時間で終わらないような仕事を与えておきながら、残業代を払わないなんて許せませんね。
バイトが台風で来られなくなって正社員が穴埋め
残った唐揚げや焼きそばを5万円も買い取るワタミ社員
イシダ(ワタミ元正社員) 会社からは「お前、別に働かなくてもいいけど店が回らないよ」って言われますね。他に頼る人がいないので俺が働かなくちゃいけないのかな、しょうがないのかなぁみたいなことになってしまうんですよ。洗脳みたいな感じで、みんなをそんな発想にする。それから、休日出勤でよくあるのが、バイトの穴埋めです。無理な形でバイトの穴埋めを正社員にやらせる。バイトの人が辞めても、正社員は逃げられないのでその穴埋めをやらされる。「バイトが台風で来られなくなったからお前来いよ」みたいなことも私自身ありました。バイトの穴埋めすると上からは「今度早上がりでいいから」とか言われるんですけど、早上がりっていっても早くて午前0時で、結局、終電がなくなっちゃってずっと働いてるような状況でしたね。
それと、閉店後に残りものを買わされるというのもある。残った唐揚げとか焼きそばとか食材を店の業績を上がってるというふうに見せるために5万円ぐらい買い取っている人もいました。
ワタミ社員に寄付強制し
自分の功績にする渡辺美樹氏
3カ月に1回、理念研修というのがあって、ワタミの理念を今一度確認しようみたいな研修に参加させられます。4人1組で、どんなふうに働いてるかをそれぞれが話して、ミキティ(渡辺美樹氏)の言ってる通りに働いてたら褒められて、そうじゃなければ批判させる。4人1組で自分の経験談を言い合ったりするんですけど、あるとき、夢について語るみたいになって私は、「自分が店長になった店に、家族を呼んでご馳走してあげるのが夢だ」と言ったら上司に「君の夢は小さいねぇ」って批判されました。
それから、上司から「お前、ちょっと、空を飛べよ」って言われたことがあって、それに対して、「空は飛べません」って言ったら、「お前、それはダメだよ。飛行機をどうやって作るかを考えて、その予算を具体的に考えて、私はこうやって空を飛ぶことを実現すると言わなければ、お前それはダメだよ」と上司に言われました。とにかく、「無理」って言わせてもらえないんですね。ワタミはどんなに人が少なくても、どんなに理不尽なことがあっても「無理」とは言わせてくれないですし、言わせないような教育を受けますね。それで月に300時間も働くやつが出て来たり、数万円も寄付をする社員が生まれるんだと思いますね。
寄付っていうのは、ワタミの森プロジェクト、リターントゥーフォレストというのがあって、それの植林事業が月に1口100円です。カンボジアとかに学校をつくるのもあって、それが月に1口1,000円。あと、みんなの夢をかなえたいというプロジェクトがあって月1口100円。毎月、合計1,200円が半強制で寄付させられます。寄付を断る人はマークされたりとか、上司から「あいつはもうダメだな」みたいに言われる。会議の場でも会議資料に寄付の申込み用紙が付いていて、上司に「きょうはこれを書いて帰れよ」と言われたんですけど、私がそれを拒否したら、仕事しているときでもメールで催促されたりとかとにかくしつこいので最後は折れて申し込んでしまいましたね。これは給料から毎月天引きされます。社員に強制しておいて、自分の功績みたいな顔をされるのがたまんないですよね。
紫野 人に強要しておいて何が夢プロジェクトですかっ!
日本社会全体が「365日24時間働く」ブラック企業化となる
ワタミ渡辺美樹氏の中央政界進出はとにかくやめて欲しい
イシダ(ワタミ元正社員) 渡辺美樹さんが自民党の方から選挙に出ているじゃないですか。それはちょっと違うんじゃないかなと思いますね。それで本人が投票は「自民党」じゃなくて「渡辺美樹」って書いて投票すれば私が中央政界で仕事ができるようになるんだみたいなこと言ってますけど、あの人が中央政界で仕事するなんて考えられないですね。日本社会全体が「365日24時間働く」のが当たり前になったらとんでもないですね。とにかくやめてくださいということです。
紫野 政治家になったら、無理矢理、自分の夢とか言って、みんなの税金を取られそうだよね。
大田 清水さんはSHOP99の店長
として過酷な労働の中で、からだを壊してうつ病を発症し、働き始めてわずか1年2カ月で休職に追い込まれました。清水さんはうつ病になりながら、こんな会社は許せないと会社を提訴して裁判に訴えました。2011年にはその裁判に勝利
されて、すごくみんなが励まされた、たたかいだったと私も覚えています。SHOP99の店長時代というのはどんな状況だったのでしょうか?
連続29日間勤務、1日平均20時間労働・
4日間で80時間労働を強いられた
清水 先ほどワタミ元社員のイシダさんが言われていたように、私も月300時間働かされていました。うつ病だったので病院に行きたかったのですが、連続して29日間勤務だったりしたこともあって病院にも行けなかったのです。多いときだと4日間で80時間近く働かされたこともありました。1日は24時間しかないので平均すると1日20時間働かされたことになります。それから、店長になったら残業代が出ないので、8万円給料が下がりました。
紫野 裁判を起こそうしたきっかけは何だったのですか?
新卒の離職率94%
清水 自分自身、うつ病で苦しかったのですが、職場の仲間から、ほかにも苦しんでいる人がいるよという話を聞いたのがきっかけです。そのとき「うちの離職率、知ってる?」と聞かれました。当時、SHOP99の新卒の離職率が95%だったのです。それを知って、多くの若者が私のように苦しめられているのは問題だと思ったのです。どうやったら苦しむ若者を少なくすることができるかと思い悩んだ結果、こういう状況を変えようと裁判に訴えました。
紫野 裁判でたたかうには勇気がいったと思いますが。
清水 ひとりじゃなく首都圏青年ユニオンの多くの仲間が支援してくれたのでたたかうことができました。
紫野 やっぱり、労働組合の仲間の存在が大事だということですね。大変な労働時間だったと思うのですけど、その頃の清水さんはどんな状態だったのですか?
清水 長い時間働いていると疲れてくるのですが、それが限界を超えると疲れているのか疲れていないのかも分からなくなってくるんですね。接客をしていてレジにお客さんがいるんですが、ろれつも回らなくなって「ありがとうございました」も言えなくなったのです。社員やアルバイトの手本にならなくちゃいけない店長なのにお客さんに「ありがとうございました」も言えなくなって辛かったですね。
紫野 参議院選挙についてはどう思われますか?
清水 仕事をしているときは仕事のことばかり考えていて、政治に関心が向かなかったのですが、実際にそういう労働の現場の実態をきちんと告発して改善してくれる政治家に期待したいですね。
「ブラック企業ゼロ」「若者への投資」で日本の未来ひらこう
吉良よし子 未来を担う私たち若者を使い捨てにしまっては未来がないと私は思います。清水さんが「燃料のように燃え尽きるまで働かされたんだ」「僕は燃料だったんだ」と裁判のたたかいの中で告発されていましたが、人を人として扱わないだけでなく、燃料のように燃え尽きて無くなるまで働かせ、そして、イシダさんのように、「夢」という言葉も嫌いになるぐらいまで働かせる。そうやって、夢も希望もさらには命まで奪っていこうというようなブラック企業による働かされ方が今の日本にはびこっていることはどうしても許せません。
私自身も就職氷河期世代で何十社も回って内定1社しか取れなくて圧迫面接的なことも経験したのですけど、本当にこういうことは許せないと、立候補を決意してから1,300人の若者のみなさんの声を集めて提言
をつくりました。提言の名称は「『若者への投資』で、東京から日本の未来をひらきましょう!」
です。若者を使い捨てにする社会では未来がありません。ですから、「ブラック企業ゼロ」を実現するための対策
を入れています。
先ほどニコ生のコメントを見ていたら、「労働基準監督署の機能を強化しろ」というのがありましたが、まさにそうです。違法な働かせ方を是正していくために、労働基準監督署の体制を強化する必要があります。ひどい働かせ方をしている会社に対して是正させていくという政治と行政のシステムを強化することが何よりも重要だと思います。ブラック企業のパワハラなども実効あるガイドラインをきちんとつくって是正させていく必要があります。ブラック企業対策は政治の力で今でもできることはたくさんあるわけですから、すぐやっていく。ブラック企業ゼロというのは、「ブラック」だと企業にレッテルを貼ってその企業をつぶしていくことではありません。ブラックな働かせ方をなくしていくという意味です。どんな企業であっても、ひどい働かせ方はなくしていくというのがブラック企業ゼロの対策です。
ブラック企業の違法な働かせ方や、劣悪な非正規雇用の広がり、賃金の引き下げなど、働く人を切り捨てていることが経済を停滞させているのです。働く人の給料を引き上げる。ブラック企業のようなひどい働き方をなくして、若者が希望をもって働ける社会をつくるために奮闘していきます。
大田 アベノミクスの第3の矢である成長戦略の柱として、労働法制の規制緩和があります。「労働法制の規制緩和の危ないナカミ」としてまとめると、「首切り自由の国」を狙う「名ばかり正社員」、「金さえ払えば解雇できる」仕組みの導入、派遣労働の全面的拡大。「ただ働きと長時間労働自由の国」を狙う「ホワイトカラー・エグゼンプション」=「残業代ゼロ」。こうした労働法制の規制緩和を許せば、日本社会全体が、労働者を「使い捨て」「搾り捨て」にする「ブラック企業」化し、「働く人が世界一住みにくい国」になってしまいます。安倍政権がアベノミクスの成長戦略として掲げる「世界一企業が活躍しやすい国」というのは、「働く人が世界一住みにくい国」ということです。これは許してはいけません。(※以上がトーク集会の発言要旨です)
※吉良よし子さんは、ブラック企業の根絶を公約に掲げて奮闘しています!!
▼吉良よし子さん第一声:ブラック企業なくす!ワタミは残業だけで欧州労働者3カ月分の労働時間と同じ
http://ameblo.jp/kirayoshiko/entry-11566321262.html
▼吉良よし子さん調査:ブラック企業ワタミ 死ぬほど残業し手取り6万円台(ナゾの天引きと社宅費除き
http://ameblo.jp/kirayoshiko/entry-11565143522.html
▼吉良よし子さん:「生きさせろ!」の声届かない政治変え、夢も命も奪うブラック企業なくしたい
http://ameblo.jp/kirayoshiko/entry-11564356755.html
▼ワタミ元店長が告発:20時間労働、相次ぐ失踪者、渡辺美樹語録の丸暗記強要、カルトなみブラック企業
http://ameblo.jp/kirayoshiko/entry-11566847180.html
▼命奪うブラック企業ワタミを「急成長企業は細かいところまで目が届かない」と北村晴男弁護士が応援演説
http://ameblo.jp/kirayoshiko/entry-11568322213.html
▼AKBとBKG(ブラック企業グループ)の見分け方
http://ameblo.jp/kirayoshiko/entry-11571132696.html