金曜夜は、職場から商業施設へ直行し、晩御飯を食べた後にショッピングをし、コーヒーを飲んで帰るというパターンをもう何年も続けている。これがないと一週間が終わらない。

さすがに毎週、同じ店にコーヒーを飲みに行けば店員さんに顔を覚えられるし、こちらも覚える。会話もするようになる。

そうして馴染みになった店員さんが、この2月から他店に異動となってしまった。

その話は店に残った他の店員さんから聞かされた。本人から(私が)直接聞かされる間もなく異動となってしまったようで「(私に)必ず伝えて下さいって、頼まれたんですよ。よかったらその店にも行ってみて下さい」とその時の店員さんが話してくれた。


異動となった店員さんは、私がその店に通い出した頃は接客に慣れていないようで、親しみやすい感じではなかった。が、彼のラテアートに感心して写真を撮っていたら嬉しかったようで、凝ったラテアートをしてくれるようになり、それをまた写真に撮っているうちに、自然と話すようになった。

正直コーヒーよりも、店員さんとの会話目当ての方が大きかった日もあるが、勿論変な意味はないし、それ以上の関係など考えた事すらない。


異動となった店は、毎月行く美容室の近くでもある。次の美容室の時に寄ってみるか、、と思い、今日行く事にした。だから昨晩(金曜夜)はチェーン店のコーヒーで我慢した。


店でも時々あげていた「コーヒーに合うキャラメル」を差し入れとして一袋購入し、初めてその店に行ってみた。


店のテラスに自転車を停め「そこに停めてて良いですか?」と了解を取ってカウンター内を見ると、店員は3人、目当ての彼は居ないようだ。

休憩中とかもうすぐ来るとかなら良いのだが、と思いながら注文の順番待ちをする。


店長とおぼしき男性が、レジカウンター越しに客と何やら話をしている。次の客など関係ないと言わんばかりの大声でひとり盛り上がり、お世辞にも上手いとは言えない発音の英語で、得意気に話している。どうやら店のコーヒー豆の説明をしているようだが、次の順番を待つ私など眼中にないようで、実際その客が終わっても、今度は他の店員にカウンター内で作業の説明をしだした。


やっとこちらの方に向いた時は、私は待たされた不機嫌が顔に出ていた。その様子を見て、やっと自分の態度に気付いた(かどうかは分からないが)のか「お待たせ致しました」と言われた。


コーヒーの注文をした後、私は後ろに待っている人が居ないのを確認してから「最近こちらに(前の店から)異動で来られた方は、今日はお休みですか?」と聞いてみる。

店長はシフト表を見ながら「店員のシフトは教えられないんですけど」と言い、自分はシフト表を確認しつつ、私には居るのか居ないのかさえ答えない。

だがその態度で、今は居ない事を察する。

私「前の店でこちらに異動で来られたと聞いて、会いに来たんですけど」

店「お名前頂ければ伝えておきます」


そっちは個人情報保護を盾に教えないくせに、私には名前聞くんだ、とさらにイラっとする。

私「(私が)名前言っても、彼には教えたことないから、分からないと思いますよ」

私「前の店に毎週金曜夜に来ていたおばさん、と伝えてもらえれば伝わると思います」

店「わかりました」


私「今日は待っていれば来られます?」

店「店としてもお客様との関係は大事に思いますが、店員のシフトは教えられません」


少しでも、店長の申し訳ないという気持ちが見えた気になれば、私もここまでムカつくことはなかっただろうが、この店長の言い方だと怒りしか沸かない。申し訳ないとかすみません等、言葉だけの謝罪さえ、ない。


店にしてみれば、ストーカーまがいの客を想定しての対応なのだろう。

冷静になれば言っている事はわかるし、仕方のない事なのかもしれない。嫌な世の中になったものだ。


とはいえ、わざわざ手土産を買ってまで陣中見舞いに来た初来店の私としては、こんなおばちゃん(私)がストーカー扱いかよ、と悲しさよりも怒りが湧いてくる。


今居るか居ないかは勿論、「今日は夕方から来ますよ」とかだけでも教えてくれていれば、今後もこの店に行っていたかもしれない。彼に会う会わない関係なく、近くに来れば寄って、コーヒーを飲もうかという気になっていたかもしれない。


だが「こんな対応の店、二度と来るか!」と思う。


店長は、シフトを客に教えない事で店員を守ったつもりなのだろうが、この店としては、もしかすると常連になっていたかもしれない客を失った事になる。ひいてはせっかく「彼」が呼び込んでいた客を追い返し、二度と来ない客にまでしてしまったのだ。


個人情報保護は大事だが、人を見て柔軟に対応して欲しいと思う。店長なら尚更だ。


余談だが、毎週金曜に行く店は店員同士でも和気あいあいとした雰囲気で、客としても落ち着くが、こちらの店のカウンター内に居る3人は、店員同士の笑顔もなく、無言で黙々と作業をしており、全く楽しそうには見えなかった。


異動した彼があらゆる意味で、気の毒に思う。