ラーメン屋レポ | 【シルバーアクセサリー】 きらり屋 レジェンド湘南 錺職・吉原直

ラーメン屋レポ

これは7月22日に書いた、タイトル『普段の行動範囲』
http://ameblo.jp/kirariyalegend/entry-10118909027.html

の続編です。

かなり長いです。

疲れるから読まなくてもいいです。


尚、ここに記載する内容は、あくまで俺の個人的な感想であり、全ての人が同じ感想をもつとは限りません。
1つの出来事に直面した時、何をもってどう思うかは人それぞれだから。





   7月23日、昼
SO・BARのマサヤ君に昼メシ誘われる。


いくつかの候補をあげるなか、
臭えラーメン屋の名前を言った瞬間、


間髪入れずに



「無しで」



問答無用で



「無しで」



「食った事ないっスけど、あんなもん食ったら体臭まであんなニオイになりそうじゃないっスか」


こいつ…、ひでえ…





   7月23日、夜
入ろうか店の前で5分程悩む。
店内バイトらしき女の子1人携帯ピコピコ。


君はそこに居て危険を感じないのかい?


俺なんて店の外にいるだけで…


イマイチ気が乗らない、
いや、勇気が出ない。





   7月24日、昼
    《1回目》
店の前で旗ふるオヤジ、
近づく俺、
オヤジを見ないようにするがやはり店は見てしまう俺、


背後から

「寄ってく?」

「あ、はい」
どんな客引きだ…



大丈夫、もう覚悟はできてる。
店内に入る、


臭え


自然と呼吸は浅くなる。


ラーメンでてくる、
食べようと丼に口を近づける、


かなり臭え


『ウグッ』ってなった。
ビックリした。
お母さんに言い付けてやろうかと思った。
だって…、考えてもなかったんだもん…


味は…、

マズくはない、ただ、ニオイが味を邪魔してるのは気のせいか?


オヤジ寄ってくる、
「どう?」
「く…」
一瞬答に困る
「初めての味でしょ?」
「あ、はい」


内心、いや別に…、なんて事は口には出さない。


「昔は九州行ったらどこでも食べれたんだけど、今はウチくらいじゃないかな」


あのぉ、

  ここは横浜ですが…


てかよぉ、食わせろよ。


どうしても臭いので紅生姜をたくさん入れてニオイをごまかす。


オヤジまた寄ってくる、
「ウチのラーメンは幻の味なんだよ」




   は~ぁ?




ずいぶん古い本を2冊見せてくるオヤジ、
「この本の1番最初に載ってる写真はウチのラーメンなんだよ。
2番目、3番目、4番目に載ってる写真のラーメン屋さんはラーメン博物館にも入ってたんだよ」




     で?



   てか…



   うるせえ



ウンチクは客寄せに使え、食い始めたら味覚にウンチクはきかねえよ。


食い終り、帰って仕事する俺、



口の中、



ずっと臭え。



口の中だけじゃねえ、鼻から出る息、もう夕方だってのにまだ臭え。
呼吸するのが嫌になる。
あぁ、出来る事ならファブリーズ飲みてえ…


どうしても気になり、リザードヘッドの柴田サンに電話。
「九州ラーメンの店って、店の外まで臭いのは当たり前なんですか?」
「あー、臭いよ。濡れた犬のニオイでしょ?」


濡れた犬のニオイてアンタ…


「スープのコシ方が細かいか粗いか、上澄みをどうするかによっても違うけど、あれはダシをとる時のニオイで、博多のラーメンのスープの味自体は上品な味だよ。熊本、鹿児島の方まで行くと結構臭くなるけど」


「昼食ってまだ口の中臭いんですけど…」


「ずいぶんワイルドなラーメンだねぇ、ぜひ検証してみたいから、今度そっち行ったらつ連れてってよ」


チャレンジャーだ…





   7月25日、昼
  《2回目のはず》
悩む、かなり悩む俺。
やはりノルマ3回は早めに片付けるべきた。


が、しかし、
しかしだ、2日連チャンはどうなんだろう…


夕方まで続いた呼吸障害という名の二時災害。
1度体をクリアにしなくてはいけない気がする。
2日連チャンで蓄積したら、
いや、3日連チャンで蓄積してしまった場合、
マサヤ君の言う通り体臭まであのニオイになるんじゃないだろうかという不安。
もしそんな事になったら、俺が歩くと道行く人は雨も降ってないのにこう思うだろう、



『あ、濡れた犬だ』
と…



嫌だ、
嫌過ぎる。
フェラチオの後のキスよりも嫌だ。
よし、明日の俺に任せようじゃねえか。





   7月26日、昼
    《2回目》
嫌だ…
朝顔を洗いながらそう思った。
でもレポート書くって書いちゃったし…


とりあえず昼メシ食いに出る。
店内、家族1組。
おっ!客入ってる。


店内に入る。



臭え。
ラーメン出てくる。
水を1口飲み、いざ心して丼に近づくと、


あれ?思った程臭くない。
確かに店内は臭えが、大分なれた。
これなら1回目よりニオイを気にしないで食えそうだ。
すると不思議な事に以外に美味い。


1回目感じた体内に巻き起こるあの違和感、
今まで感じた事のない脳内バトル、
味覚と嗅覚の壮絶な戦い。


何かを食べる時、味を判断するのに大切なのは、
まず視覚と聴覚と嗅覚で空間の雰囲気を感じ、
次に視覚と嗅覚と味覚で食べ物の味を判断する。
あとは思い込みって名脇役もあなどれねえが…


しかし俺の味覚は今までのバランスのとれたごく普通の生活の中、
自分が味を判断する為のエキスパートだという事を分かっていながらも忘れかけていたんだろう。


それが1回目の戦いにおいて、
思い込みゴトキの脇役と、嗅覚の野郎に邪魔されて、本来の自分の仕事が出来なかった事を悔やみ、
2戦目ではゴング前から嗅覚の野郎にローキック、ゴングと同時に猛攻撃をかけたって事か。


いや、もしくは1戦目においてかなり疲労のたまった嗅覚が本来の仕事をこなせなかったのか。


何はともあれ、臭くないとは言わないが、1回目よりは断然美味しく食べる事ができた事に安心し、最後に水を1口。




犬の口臭…



2戦目、嗅覚の粘り勝ち。


帰ってリンゴ食ってブラックのコーヒーを飲む。





   7月26日、夕方
コーヒーの効力が切れると再び襲い掛かる濡れた犬。





   7月27日、昼
  《3戦目、最終戦》
チャンピオン、『嗅覚』
セコンドには『思い込み』の野郎がホクソ笑みながら余裕の表情。


挑戦者、『味覚』
セコンドには『食後のコーヒー(濃いめ)』と、
二時災害を防ぐ為に用意した『コーヒーを染み込ませたティッシュ鼻栓』


と、
仕事中、鼻栓に疲れた時の為『作業机の上にばらまいたコーヒー豆』






…『ブレスケア』?
舐めんなよ『嗅覚』
そんなケミカルにゃ頼らねえ、今回の俺は正々堂々とナチュラルだ。



しかし、
2戦を終えた後の水、そう、ウカツだった食後の水1口。
食前の水には感じなかったはずの犬の口臭。
犬に顔を舐めくりまわされた時のあの感じ。


食い終わってからの水、
そうか、俺の息がコップの中に1度こもったんだ…
俺の息は犬の口臭…
犬の口臭は俺の口臭…
いや、考えるな俺…、辛くなる。。。


原因を理解した上で挑む『味覚』に敗北の文字は見当たらない。


2日連チャン、
ここまで来たら関係ねえ、
勢いだ、行けっ!!俺っ!!


午前中の仕事を済まし、いざ入店。


あれ?
いつもなら『臭っ!!』ってなるところ、
『独特のニオイがする』程度。
ま、とは言え決して『いい香』という訳ではない。


そして
ラーメン出てくる。
水を1口飲み心を落ち着かせ、食べ…



あ、美味え…



ここで1つ大切な事を思い出す。
俺は猫より、どちらかと言えば犬派だぁーっ!!



あせる『思い込み』
すきを伺う『嗅覚』
つい水に手がのびる。
でるか?『嗅覚』のカウンター『犬の口臭』!!
そこは『味覚』も対策は練ってある、
息を吐いてからコップに口を付け、少しだけ水を飲み、決してコップの中では息をしない、そしてコップから口を離しても息は浅めに。
『嗅覚』のカウンターを上手くかわす『味覚』は攻撃を止めない。
『思い込み』『嗅覚』共に戸惑いを隠せない。


今日の『味覚』はいつもと違うぜ、
『替え玉(有料)』までいってやった。


『嗅覚』側のセコンド『思い込み』の心が折れる。
しかし二時災害という武器を片手に諦めない『嗅覚』


食後、水を飲まず店を出ると同時に鼻栓、
近所のお気に入りコーヒー屋サン『珈琲文明』へ駆け込み、
コーヒー(濃いめ)を


ストローで飲む。


実は2戦を終え気付いていた事がある。

丼にもっとも近づく物。
それは衣服ではなくヒゲだ。


そう、俺の15センチを超えるアゴヒゲは、スープにひたる訳でも無いのにあのニオイが染み付く。
もしスープにつかっていたなら…
もし衣類にスープがかかっていたなら…
さらに口ヒゲは少量とはいえスープがついてしまう。


コーヒー(濃いめ)を飲み終えた俺は帰ってヒゲをシャンプー。
机にばらまいたコーヒー豆に援護されながら仕事。





   7月27日、夕方
    《結果発表》
本来ならばKOで決めてもらいたかったこの勝負。
判定の結果


勝者、『味覚』!!
あの店のラーメンの『味』は『美味い』って事だな。


よかったな、『味覚』
これからは
「美味いの?」
って聞かれたら
「美味いよ」
って答えてやるよ。



お疲れさん、『嗅覚』
けして君が悪い訳じゃない、むしろ弱い訳でもない。君は自分の感じた事を素直に俺に伝えてくれた。
最終戦、ハンデを背負いながらもよく戦った。
これからも
「どうなの?」
って聞かれたら
「臭え、ハンパなく臭え、あれはニオイじゃなく暴力だ」
って答えるよ。


これからは存分に夏の匂いを楽しもう。





   7月27日、夜
   《しげ1回目》
鹿児島県出身、シャングリラのギターボーカル、シゲ登場。
俺の話を聞き、食ってみたい、と。


シゲ的には俺の話は大袈裟だと思ったんだろう、
俺をヘナチョコだと思ったんだろう。


シゲいわく、やはり九州ラーメンの店の外、
『外』がクサイのは当たり前だと。
むしろ大好物だと。


以前『4車線』と書いた道路は実は5車線だった。
その5車線の道路を渡ろうとしたその時、
シゲ「あ、犬だ…」


店に入り食べるシゲ、ふと
「直さん、カルシウムってあんな字でしたっけ…」


食べ終わり店を出る。


「ニオイも味も無しです」

帰り道、やはりブラックの缶コーヒーを買うシゲ。


「違うんスよ、違うんスよ…、九州のラーメンのニオイはちゃんと『食べ物のニオイ』なんです。
でもあれは…、
ただの『獣』です」


しばらく話をしてると、


「あ…」


コーヒーの効力が切れたらしい。


シゲ、



  撃沈



コーヒー豆を




   食った…





   7月28日、今
    《後書き》
昔から
『人は見掛けによらない』
『人を見掛けで判断しちゃいけない』
なんて言いやがるが、
見掛けで有ろうと無かろうと、
判断されるのが『人』ならば、
判断するのは、もっと『人』って事さ。
アンタどう思うよ。
俺は