薄い本で、文字も大きいので読みやすい。
輪廻転生での、過去生の記憶がある著者の死の体験についてと、死を迎えるにあたっての心構えといったものについて書かれている。
内容は、私の期待していたようなものではなかったけれども、自分がどう生きるかを考える時には、自分の死について考える必要があるというのはよく理解出来た。
自分がどういう死を迎えたいのか。
そこを見ずして生きる人生の生き方は、多くの場合、見当違いの人生になる場合が多い。
死を迎える最後の最後で、こんなはずじゃなかったと自分の人生を後悔することになる。
今この時、私は死んだら後悔するのかな?
考えてみる。
まだやり残していることがあるような気もするし、まだ進んで死ぬことは出来ないかな。
でも、ここまでよく頑張って来たと、今の自分に対しては思うことが出来る。
2、30才代の頃はそんなことは思えなかった。
世の中に対して不満だらけだったし、早くこんな人生を終えたい。
面白くも何ともないって感じだった。
何をしたいのか、何になりたいとかの明確な夢や目標みたいなものも全く無かったし、今も無い。
けれども、自分がどんな死を迎えたいのかを考えることで、ならどういう生き方をすればそうなるのだろうかということを逆算的に考えることで、その生き方の方向性は見えて来ると思う。
著者は、良い生き方をしなさいとしきりに勧める。
けれども、好奇心旺盛な若者たち、野心バリバリな人たち、世間や常識と言ったものから外れることを恐れている人たちにただそんなことを言っても伝わらない。
その時には、自分の死について考えることが有効になって来る。
良い死を迎えたいならば、他人から恨まれるような行いは控えるだろうし、ただ好奇心だけで突っ走るようなことも控えるだろうし、他人の目を気にしてひたすら我慢するだけの人生も馬鹿らしいと思えるようになるだろう。
死は縁起が悪いと忌み嫌い、遠ざけるものではなく、私たちのごく身近なものとして置いておかないと、この先も愚かな生き方をして死んで行く人たちは一向に減らないのだろう。