それが最初の感想だった。
何、この映画?つまらん。
それがきっと、茶道に興味の無い人が観た時の感想だろう。
茶道に興味のある人にしか受けない映画。
過去に10年ほど茶道を習っていた経験のある私には、作中の茶道あるあるに面白おかしく、興味を持って観れた。
私の知らなかった知識も知れたり。
茶道という非日常と主人公の日常がその人生に同時に存在していて、かつ同時進行して行く。
日常と非日常が並行して描かれている、そんな感じ。
お茶室は日常を忘れる空間、と現役時代の私は思っていた。
けれども、その中はとても人間臭かったり。
お茶会を開いたり行ったりしても、作法に気を取られ過ぎて、純粋にお茶を楽しむという雰囲気ではなかった。
お茶を楽しむことより、お茶の知識や作法で失敗しないことの方が大事だったから。
私が習った先生は比較的フランクで気楽な方の先生だったけれど、茶道は、知らない、出来ないことが恥という世界。
私は、お稽古で無心になってお茶をたてている時が一番好きだった。
お点前や、その作法を身に付けるには時間が掛かる。
けれども、それらが身に付いて、自然とそうなるように体が動く時の感覚は心地よい。
お茶をすることは、一種の瞑想でもあるように思う。
映画では、24年お茶を続けていた主人公。
24年と聞くとすごいと思うだろうけれども、多分主人公的には気付けば24年なのだと思う。
私の場合は、結婚とお茶の先生の病気とを境にしてお茶から離れてしまったけれども、もし続けられる環境にいたら今もお茶を続けていたように思う。
久しぶりでお点前をしたくなった。