ガリレオの『真夏の方程式』
テレビ放映を録画してあったものを観ました。
予想外に深い人間ドラマの映画でした。
ちなみに原作は知りません。
あ、ネタバレになると困るので、まだこれから観たいって方は、この先は読まない方向で。
お互いに深い愛情で結ばれながらも、その愛の表現の仕方を間違えてしまった、緑岩荘の家族。
成実を含め、取り巻く人物に共通するものは「恐れ」。
幸せな家庭生活を脅かされる恐れ。愛する者を傷付けられる恐れ。愛するが故に護りたい。
「愛する者を護りたい」
そう言えば聞こえがいいが、その実の動機は、恐れからくるエゴに過ぎない。
結局は、愛する者が傷付くのを見たくない、今の幸せが壊される恐れ、それに耐えられない自分。その自分を守る為、自分の為だ。
そして、何も知らない子供にまで罪を背負わせた罪深さ。
エゴからの行動が故に更なる闇を作り出す。
だけども、秘密を秘密のままで終わらせたのは良かったと思う。
(あと、最後に映った探査船らしき船も。)
何もかも全てを白日の下に晒してちゃんちゃん、ではあまりに単純過ぎる。
人間ドラマはそんな単純なものではないから。
もっと複雑で、絡み合って、ドロドロしたものだから。
そして、それが最も人間で、人間らしいと思うから。
その代わり、当事者達は胸の奥に深い闇を抱えたまま生きることになる。
全てを告白してしまえば、心は楽になれる。
心に十字架を背負った人生。
常に自分で自分を裁く人生。
そちらの方が余程辛い人生になるだろうと思う。