過食が一気に加速して悪化して、とんでもない毎日を送り始めた。

過食したスナック菓子の箱や菓子パンの袋は、まとめて近くのコンビニのゴミ箱に捨てた。
当時はまだ、コンビニの前にゴミ箱があったんだ。
今は見かけなくなったけど。
大きくてたくさん入る高校バックは役に立った。
当時、アルバローザやミ・ジェーンなんかのギャルブランドのショップ袋を持つのもファッションだったから、
私としては好都合だった。
コンビニで買った過食用の食料を入れるのに便利。
家から過食後のゴミを出すのにも便利・・・。


それでも当時、付き合っていた人がいて、
その人と会える時間は、過食から逃れられていた。
過食よりも、その人に会う方が大事だったから。
お腹がすかないように、その人に会う日はちゃんとお弁当を食べたり、
一緒にご飯を食べるようなときは、コンビニでサラダを買ったり、カロリーが少しでも少ないおにぎりを買って食べたりして過ごすことができた。

さすがに、あまりにもひどい毎日を送っていて、
ご飯となると私がガツガツ食べるし、しょっちゅうトイレで吐いてたから、まず母親が気づいた。

「ちょっと座って」と言われて、
「最近食べているものを吐いているでしょう」と聞かれた。
なんか、呆然としてしまった。
バレて当たり前なんだけど、当時の私はバレないと思っていた。バレたとしても、止めようが無いとも思っていた。
「吐いてない。吐いたりなんかしてない。」と答えた。
認めることなんてできなかった。
母親もそれ以上なにも言わなかった。

その日から、一体どうしようと悩んだ。
どう考えても、過食嘔吐を止められないと思ったし、夕ご飯をちゃんと食べられる訳が無いと思ったから。

結局、いつもはガツガツ食べる夕ご飯を控えめに食べる用にして、でも控えめに食べても後で吐いて、
過食もこっそり続けた。
バレないようにやるのにものすごく神経を使ったけど、
やはりバレた。

「やっぱり吐いているじゃない。もう止めなさい。」とか、言われた気がする。
そんなこと言われたって、止められない。
母親は父親にも話したようで、父親は特に何も言って来なかったけど、いつも、私がトイレに行こうとする時、コンビニに行こうとする時、監視されているような感じだった。

家で吐きづらくなり、過食もできなくなって、私は外で過食嘔吐するようになった。
そうまでしても、過食をしなければならなかった。本当に、止めようが無かった。
買って来たものを持って屋上で食べたり・・・
外で歩きながら食べたり・・・
喫茶店やファーストフードのお店をはしごしたり・・・

思い出すのが、本当にしんどい。
狂気の沙汰のように思えるけど、本当に、16歳の私はそんなことをしていた。
公衆トイレを求めてさまよった。
医者に行く日とかは、医者に行く前に菓子パンを食べて、病院のトイレで吐いたりしていた。
とんでもない。
狂ってた。
いや、今でも狂ってるけどね。
でも、狂って過食を続けた。そしてもっと狂った。

面倒くさくて家で吐いてしまう時もあった。
そして遂に、母親が切れた。
「もう食べるのは勝手に食べたらいい。ただトイレを自分で掃除をしなさい!」とか何とか、言われた気がする。


今つくづく思うけど、私を病院に連れて行ったら良かったのに。
私の病気と向き合うのが面倒臭いと思ったのなら、強制入院でもさせちゃえば良かったのに。
そしたら私は親を恨んでいただろうか?
あの時多少手荒にでも、ちゃんと摂食障害を治していたら、普通に人生行きて来られただろうか。


ある日母親が、遂に、摂食障害者、特に過食症の人の話が載っている本を買って来た。
「読んでみたら」と言われたけど、私は怖くて、読めなかった。
自分が「摂食障害」だとか、「過食症だ」って、認められなかった。
自分だけの為に書いていた日記帳にすら、過食のことは書けなかった。
怖くて、あまりにも怖くて、自分のことなのに、向き合えなかった。
それは、20歳くらいまでずっとそうだった。
その母親が買って来た摂食障害の本をやっと開いたのも、数年後のことだった。

母親は、「これを読んで、あんたはまだマシな方だと思って少し安心した」とか言ってたけど、
後々本を読んでちっともマシじゃないと思った。
母親は知らなかっただけだ。
私が登下校中にも食べていたことや、公衆トイレで吐いたりしていたことを。

確かに、その本の中には、過食がしたくて学校や仕事を辞めてしまった人とかもいたけど、
トイレで吐けないから自室でゴミ袋に吐いていた人とか、
そんな人の話を読んで、
私は泣いた。
でも、治らなかった。拒食と過食と嘔吐は、いつまでもいつまでも、続いた。


いつまでも。今でも。
昨日も今日も、駄目だった。せめて今日は、酒を抜くけども。
酒はなんとかなる・・・ような気がする。別に断酒したいわけじゃなくて、楽しく飲んで楽しく酔えるお酒は好きだし、そういう時間は普通にあっていい。
だけど過食嘔吐から、抜け出せない。

もう記憶喪失になりたい。
過食の快楽とか、嘔吐していたこととか、全部忘れて、普通に行きて行きたい。
普通になりだけなのに。

そして一方で、過食も飲酒も止めようとすると、どういうわけなのかものすごく、痩せたくなる。
いつの間にか頭の中で真剣に痩せることを考えていて、
過食から気を反らすのに有効なのはウォーキングすることや、ジムに行くことや、ひたすら食べることを忘れようとエクササイズを繰り返すこと。
そういう思考回路ができあがっているのか、私が狂ってるだけなのか、
もう元に戻らないのか・・・

食べたい、吐きたい、食べるのも吐くのも止めたい。痩せたい。痩せたい。
久しぶりに、あの痩せていた時の気分を、感じたくなってしまう。

狂ってるなぁ・・・

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