恋愛セオリーを書いていたら、話が繋がらず単なる桃の番外編扱いに・・・。
とはいえ、停滞しっぱなしだったので以前書きかけのものを修正してみました。
すみません。またしても短編・・・しかもパラレルです。
蓮君が他の女性と結婚しています。
かなりヒドイ男です。
浮気&離婚という単語を受け付けられない方はバックプリーズです。
一応蓮キョですが、糖分ゼロです。
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ここはLME探偵事務所
都内のビルの最上階にドーンと構える事務所は、残念ながらテレビドラマの様なロマンティックな依頼が舞い込んでくる訳ではなく
人探し、子猫探し、素性調査など、現代社会の憂うものばかり
その中で一際多いのが
「妻の浮気の証拠を掴んで欲しいんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・浮気調査
三件に一件はこの案件
全く・・・いくら仕事とはいえ、うんざり。
本当にうんざり。
ありもしない真実の愛とやらを盲信して馬鹿げた夢を見て結婚するからこんな事になるのよ!自業自得よ!!
・・・・と、指を突きつけて言ってやりたい。
「聞いています・・・・・・・・?」
反応のないどころか、思いっきり嫌な顔をしたまま言葉を発しない探偵事務所の事務所員を依頼主は覗き込んだ。
その顔は
・・・・・・確かにイケメンね・・・・しかも・・・会社社長・・・??
顧客カードを見て、事務所員は改めて依頼主を見た。
敦賀蓮
日本有数の大企業ヒズリコーポレーションの社長
依頼内容は・・・・妻の浮気調査・・・・・なんだけど・・・・
「・・・・・・・・・離婚歴・・・・2回・・・・?」
って事は・・・これが3度目の結婚で・・・・しかも、過去2回も奥さんの浮気が原因が離婚で・・・
「これが三度目!?」
とんでも無い情報に思わず声を上げてしまうと
「コラコラ最上くん。依頼主を前に失礼だぞ」
「所長・・・・」
奥から出てきたのはLME探偵事務所の社長。ローリィ宝田。
なぜ探偵事務所の社長が闘牛士のコスプレをしているのかは、もう慣れてしまって突っ込まない。
「こんにちは。宝田さん」
「何だ、また来たのか蓮。2回目の時より感覚が短いじゃねーか」
「はあ・・・そうでしたか・・・?」
気さくに会話を始める二人に目をパチクリとする。
「所長・・・知り合いですか?」
「おお。俺の旧友の息子でな。ウチの上得意先様だ」
探偵事務所の上得意先様って・・・・どうなのかしら・・・
「宝田さん、彼女は新入りですか?」
「ああ、お前が2回めの離婚をして3回目の結婚をする間に雇った。最上キョーコ君だ」
紹介されてしぶしぶ頭を下げるが・・・
所長・・・その紹介もどうなの・・・・?
「で、蓮。確かなのか?」
「はい。お願いします」
淡々とする会話の内容と依頼内容のギャップに一瞬話の内容がわからなくなりそうだった。
「はぁ~・・・だからあれ程次はよく考えろと言ったのに・・・」
「よく考えたんですか・・・」
「嘘つけ。お前のことだから、どうせまた独身でいる事が面倒だっただけだろ」
「そんなこと・・・ちゃんと彼女が好きだと思ったから結婚したんです」
「好きだと・・・・ねえ~・・・・・お前の様子は到底好きな女の浮気調査依頼に来る奴の顔じゃねーけどな」
そう・・・・そうなのよ・・・・
大抵浮気調査に来る人ってもっと怒りとか悲壮感とかを漂わせているんだけど・・・・
この男のこと落ち着き具合。
これはビジネスの商談じゃないのよ!?
もしかして、浮気ってこの男の方に問題があるんじゃ・・・・
「じゃあ、最上くん。蓮の依頼担当は君だ。頼むぞ」
「・・・・・・・へ?」
「俺は今別の案件で忙しい。君に任せる」
「・・・・・・はあ・・・・」
ひどく気は進まないが、仕方がない。
コレは仕事。
「よろしくね。最上さん」
目の前の男の笑顔がひどく胡散臭いものの様に見えた。
というか、浮気調査依頼を笑顔でするんじゃないわよッ!!!
敦賀蓮の奥さんの浮気の証拠はすぐにつかめた。
敦賀さん名義のカードでの豪遊。
ホスト通い三昧の日々。
そして、若い愛人
「・・・・・・言ったらなんですが・・・・・この奥さん最低ですね、まあ敦賀さんもいい旦那さんには見えませんでしが・・・・」
報告書をまとめながら、思わず呟いた正直な感想にローリィは葉巻をふかしながら苦笑した。
本当にこの子は正直に言うな・・・と思いながらも、彼自身思うところが無い訳ではない。
「まあ・・・蓮は奥さんに何不自由させていない。ちゃんとイベントには花を贈りホテルのディナーの連れて行き、スイートに泊まる。もちろん浮気はしない」
だが、一度目も二度目もそして今回も共通すること
結婚してしばらくすると、奥さんは虚しくなってくる。
大事にされているのに、
女性としての理想の結婚なのに
求めた一番欲しいモノが手に入らなくて、あがいて、絶望して、そして虚しくなる
「何ですか?それ・・・」
「蓮もな~・・・昔から変わらなくてな。付き合った子は星の数ほどいるというのに、長続きしない。最期は振られて終わりだ。しかも原因を本人が理解していないのがタチが悪い。」
そして、そのまま結婚しちまったからな~・・・
プカプカと煙をふかしながらのローリィの言葉にキョーコは首をかしげるのだった。
キョーコの浮気調査報告書を見ても蓮は顔色一つ変えなかった。
あまりの平然としている様子に、こちらが心配になってくる。
「あの~・・・・」
「何?」
顔をあげてこちらを見てくる目にも何も動揺は見られない。
この人、本当にこれが自分の奥さんの調査書だってわかっているのかしら?
「いえ・・・・ご心痛お察ししますが・・・」
他に言いようが無くて、そんな言葉しか出てこない事に嫌気がさしてくる。
なのに
「ああ・・・・仕方ないよ。彼女が他に好きな人が出来たのなら、離婚するのがいいと思うしね」
「やはり、離婚するんですか」
「うん。この証拠があれば弁護士とか賠償金とか面倒な事をせずに離婚できるだろうし」
「・・・・・・・・・・え?」
普通逆じゃない?
「奥さんの浮気を訴えるんじゃなくて・・・ですか?」
浮気の証拠があれば相手を含め十分にふんだくれ・・・いえ、慰謝料をとれるのに・・・・
キョーコの疑問に気づいていないのか、蓮はあっけらかんと「いや?」と首を振った。
「離婚するのに話し合いとか弁護士をたてるとか時間を取られるだろ?彼女だってこの証拠があれば訴えられるのは自分だって判っているから、こちらが離婚届に判を押すだけを求めたら押すだろうから」
・・・・・・・まあ、大企業の社長ならお金に困っていないでしょうけど・・・・
けど・・・・なにかしら・・・・これ・・・
もしかして、この人他に結婚したい人でもいるとか?
それで今の奥さんが邪魔でスムーズに離婚できる様に?
いや、でも浮気したのは奥さんの方で
グルグル考えるキョーコを差し置いて、蓮は調査書を封筒にしまうとさっさと席をたった
「ありがとう最上さん。仕事が早くて助かったよ。また何かあったら頼むね」
「・・・・・・・今度は別の依頼でお願いしますね」
そう言って、彼とのつながりは終わったハズだった。
その一ヶ月後敦賀さんが離婚したと所長から聞き
更にその3ヶ月後、敦賀さんが再婚したと所長から聞いた
もちろん、その時は大した興味もなく聞き流していたが
その半年後
「妻の浮気の証拠を掴んで欲しいんです」
再び現れた人物に呆れるべきか
怒るべきか
本気で対応に悩むのだった。
そして、後に知るのは
あれは終わりではなく、始まりだったと言うこと。
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