☆10万HITリクエスト!藤夜様から頂きました!
ある世界のある国で、とてもとても美しい白雪姫・・・・ではなく、レンという美男子がおりました。
彼はある国の第一王子でしたが、母親の身分低く弟のショーが先王の死後王位に就いていました。。
レンは元々王位には興味が無かったので、それを不服とは思っていませんでした。
しかし、その外見と人当たりの良さ、なによりも優秀さは国内外の知れる所となっておりました。
そんなレンの優秀さを、王様であるショーは面白くは思っていませんでしたが、それ以上に彼にはレンを許せない事がありました。
これは、ある記事が発端となって起こったある国の物語りです。
「ふっざけんじゃね~ッ!!!!何だこれは!!!」
ある国のあるお城での清々しい朝、王様であるショーは新聞を目にして叫び声をあげました。
その新聞の一面には、国を挙げてのある特集が掲載されていました。
その名も『発表!!LME国 抱かれたい男ランキング!!レン王子がダントツのNO.1を獲得!!』
という記事です。
「なんで王様でカッコいい俺様が2位で、ただの王兄であるアイツが1位なんだよ!!」
ショー王は怒りで新聞を破りすてました。
ショー王は自分の容姿に自信をもっていました。
そして、幼い頃からチヤホヤされて育ったので、なんでもNO1でなければ気がすまない性格です。
「アイツがいる限り俺はNO1になれない!!」
鳴かぬなら殺してしまおう、ホトドギス。
では無く、いるのなら消してしまおう、俺よりイイ男。
という訳でショー王は早速手を打ちました。
「レン王子をこの国から追放しろ!!」
絶対王政万歳。
彼に逆らえる人間はこの国にはいなかったのです。
「全く、あの単純短絡思考の単細胞は困ったものですね」
「ごめんな、レン・・・・俺にもっと力があれば・・・・」
「ヤシロのせいではありませんよ。奥方がショーの母親の侍女でしたよね。逆らえばトバッチリがいくかもしれませんし」
城を出て兄王であるレンは、従者であるヤシロと共に森へと足を進めていました。
ショー王の命令を聞いたレンは、力ずくで追い出される前にさっさと自分から城を出て行きました。
先王が生きていた頃は国政に参加してその優秀さを知らしめていた為、国には自分を支持してくれている者が大勢います。
どの道このままでは国を二分した混乱を招いてしまう・・と以前から危惧していたので、いい機会だと思ったのです。
「それで、お前はこれからどうするんだ?」
「取り敢えずは気ままに旅をしてみますよ。資金もたっぷりありますし」
そう言って、懐から出したのは袋いっぱいの宝石や金貨でした。
あまりの量に、流石にヤシロは目を見張ります。
レンは王子とはいえ、後ろ盾が無かったので個人的な財産は微々たるものだったハズです。
「どうしたんだ?これ」
「ショーの衣裳部屋からくすねてきました。アイツ個人への貢ぎ物ですよ。まあ、手切れ金という事ですね」
ニッコリと笑うレンに、ヤシロは「こいつはどこでもたくましく生きていけそうだ」と胸をなでおろしました。
国境の森までヤシロに見送られ、その後別れを惜しみながらもレンは一人森へと入っていきました。
この辺りの森は「妖精の森」と呼ばれ、国の人間もあまり近寄らない場所です。
まさかと思いますが、ショーが追ってを差し向けていないとも限らないのでレンはその森を抜けて行こうと考えたのです。
「この森に来るのも久しぶりだな。昔は母上の離宮が近くにあったからよく遊びに来ていたけど・・・」
子供の頃探検と称してよく遊んでいた森です。
国の人には近寄りがたい「帰らずの森」でも、レンにとっては懐かしい場所でした。
森の道なき道を慣れた足取りで進んで行きます。
しばらく進んでいくと、何処からか声が聞こえました。
最初は風の音か、はたまた獣の声かと思いましたがどうやら違うようです。
声のした方へ進んでいくと、それはどうやら少女の声のようでした。
「こんな所に人が・・・・しかも女の子がいるのか?」
一体この声はどこから・・・・?と周囲を見回していると
「ちょっと!何処探しているのよ~!ここよ、ここ!!」
聞こえて来たのはなんと頭の上からでした。
慌てて上を見上げれば、確かに人間の少女が木の枝にぶら下がっています。まだほんの10歳ぐらいの長いウェーブの髪をした少女でした。
何でここに?と驚きましたが、何にせよ両手だけで木の枝を握っていては、いつ落ちるか分かりません。
レンは慌てて少女を助けました。
「助けて頂いて感謝するわ。私はマリア。この森に住んでいるの」
マリアと名乗った少女は最初こそ警戒して、態度が大きかったですが、レンの容姿を見てすぐに友好的な態度に変わりました。
「この森で?誰と住んでいるんだい?」
「一人でよ。御礼にお茶とお菓子を御馳走するわ。いらっしゃって?」
マリアの言葉にレンは驚きました。
こんな森の奥で、こんな少女が一人で暮らしているなんて、どう考えても驚く話です。
親は?とか色々考えますが、屈託なく笑う姿からは悲壮感は漂ってきません。
マリアの家はすぐ近くにありました。
小さな可愛い一軒家で、庭には色とりどりの花が植えられています。
そこで、マリアからお茶とお菓子を頂きながら、家の中をつい見回してしまいます。
「ここで一人で暮らしてるの?寂しくないかい?」
「森の動物たちや妖精たちがいるから平気よ」
「妖精?という事は君も妖精なのかい?」
マリアの言葉にレンはやっと納得がいきました。
妖精は滅多に人間の前には姿を現しませんし、動物と語らえるのは妖精の特色です。
そして、ここは元々「妖精の森」と呼ばれる所です。
「ええ、私この森の小人なの」
「そうだったのか。それで・・・・でも、さっきみたく木に登るのは危ないよ?」
「リボンが飛んでいってしまって、つい・・・・本当に助かったわ。お姉様に頂いた大切なものだったの」
首をすくめて申し訳なさそうに言うマリアの言葉にレンは首をかしげました。
「お姉さん?君の?」
「ええ。といってもお姉様は人間よ?隣国に住んでいて、たまにこの家に遊びに来てくれるの!」
ここは国境なので向こうの人間も入ってこれて問題はありません。
目を輝かせて話すマリアの「お姉様」の話に、どれだけマリアが彼女を慕っているのか判り、レンは微笑ましくなります。
血がつながっていても、自分とショーはあんな感じだというのに・・・と思うと心の中で溜息を吐きました。
「お姉様はね!手先が器用で、何でも出来るのよ!お庭のお花もお姉様と一緒に植えたんだから!」
「そうなんだ。マリアちゃん自慢のお姉さんなんだね」
「ええ!このクッキーもお姉様に作り方を教えてもらったの」
お料理がとっても上手なんだから!と話すマリアに、レンもつい「それは食べてみたいな」と返事をすると、マリアはますます頬を昂揚させました。
「あら!それでしたら・・・・もうすぐ・・・・」
「ごめんねマリアちゃん!お城を抜けだすのに手間取っちゃって、遅れちゃった・・・・」
扉の音と共に入ってきた少女にレンは目を見開きました。
開いたドアと共に家の中に入ってきたのは一人の少女でした。
茶色がかった髪が短く切りそろえられていて、華奢なからだつきと、少女と大人の女性の中間に位置する顔つきで、目をまんまるにしてレンの姿を凝視しています。
対してレンも突然現れた少女に驚きを隠せませんでした。
「お姉様!いらっしゃい!こちらの殿方はレン様よ。命の恩人なの。レン様、今お話したお姉様のキョーコ様よ」
唯一事情を知っているマリアの明るい声に、二人は改めて目を会わせました。
そして、レンの中には幼い光景が浮かびあがりました。
「・・・・・・・キョーコちゃん?」
「え・・・・・・?」
戸惑うキョーコに、レンは幼い頃の記憶を必死にたぐっていました。
幼いころ、身分の低い母が王宮に耐えられなくて一時期住んでいた離宮の近くの森でよく探検していた事。
そこで、何度か遭遇した一人の少女
そして一緒に遊んだ時間
再び王宮に呼ばれるまで、期間は短かったですがレンにとっては大切な思い出でした。
「覚えていないかな・・・・昔この森で会った事があるんだけど・・・」
反応の無いキョーコに、レンは不安げに尋ねます。
幼いころの事ですが、彼女には面影が残っていて一度思い出せばレンの中では確信に変わっていました。
最初わからない顔をしていたキョーコは段々と目を見開いていきました。
「もしかして・・・クオン・・・?」
「よかった・・覚えていてくれたんだね。」
キョーコの言葉に、レンはホッと息を吐きました。
そんな二人の様子をマリアはキョトンとして見守っています。
さて、物語はこうして動き始めたのでした。
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