【1万HITリクエストフリー】たとえ世界がひっくり返っても【3】 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。


「もー!いい加減にして!!私は仕事に来たんであって、アンタの相手をしに来たんじゃないのよ!?」


「そう言わないで、モー子さん!!私にはもうモー子さんしかいないの!!」


逃げようとする奏江の腰に巻きつくキョーコ。

絵的にはラブミー部員二人がじゃれあっている風にしか見えないが、奏江からすればとんでもない話だったりする。




(全く一体なんだっていうのよ)


ラブミー部で仕事をしていると、キョーコが真っ青な顔をして入って来るから一体何事かと思った。

だけど、その口から飛び出たのは、「モー子さん、私たちは一生親友よね?!」とか「もうずっと一緒にラブミー部員でいようね!」とか支離滅裂な事ばかり。

しまいには「いっそ一緒に住みましょうか!」なんて事まで言い出すから、いい加減堪忍袋の緒が切れた。


「もー!!一体どうしたのよ!何があったのよ!!アンタのその奇行の原因を言いなさい!!」



「・・・・・・・・・・・別に。近くにいるただの先輩よりも、固い呪いで結ばれた親友が一番だって思っただけよ」



暗い表情でポツリと言われた言葉に、何となく原因が見えた・・・・気がした。




(あのヘタレ・・・・今度はどんな変化球蹴って、自殺ゴールしたのよ・・・)



こめかみに指をあてて、深く溜息をつくと机の上を片付け始めた。

このままではラチがあかない!


「・・・・・・・話を聞いてあげるから、コーヒーを入れなさい。」



無理やり落ち着かせた声に、キョーコはしぶしぶとコーヒー豆をセットした。








********************







例えば、世の中には世界がひっくりかえっても起こらない事象が多く存在する。



太陽が西から昇るとか



32度の真夏日に雪が降るとか



透明人間が存在するとか



そして、最上キョーコにとって、それらと同列に扱うべき事


扱わなければならない事がある




それをたった今目の前に突き付けられていた。






「なんだ、ただの嫉妬じゃない」






全てを話し終わったときに、親友があっさりなんの無しに吐いた台詞に、キョーコは目を点にした。



「は?SIT?座れ?」


「・・・・・・ヤキモチでしょ?」


「焼いた餅?」


「・・・・・・・・・」



ああ、もう突っ込むのもめんどくさいわね・・・。



わざとでは無いのは判る。単にそっち方面の回路が切断されているだけだ。


(だからって、なんで私が接続してあげなきゃいけないのよ)


それをやるのは、あのヘタレの仕事でしょ!?



「嫉妬・ヤキモチ・ジェラシー・悋気・・・・え~・・と、後何かあったかしら・・・」

「あの・・・モー子さん・・・?今の話がどうしてそうなるの・・・?」



何か意味の通じる単語は・・・と、頭を抱えて脳内辞典を引っ張りだす奏江にキョーコはおそるおそる訪ねた。



「もー・・・・・・・・アンタ、最近イライラするんでしょ?」


「そうなの。カルシウム不足かな・・・」


「特に、晶さんの声が聞こえると症状が酷いんでしょ?」


「うん、晶さんは別に何もしていないんだけど・・・・」


「だけど、何よ」


「ズルイよね、あの胸は卑怯だわ。それに、女性なのに言葉づかいが乱暴よ。敦賀さんもだから話しやすいのかしら・・・」


「乱暴な言葉遣いなら話しやすいって事はないでしょ?それにスタイルのいい女性なんていっぱいいるじゃない」


「でも、その人達には敦賀さん平等に接しているのよ。晶さんにだけ態度が違うの。名前で呼んでいるし・・・あれも、皆に平等の敦賀さんらしくない。確かにカッコいいかもしれないけど、もっと綺麗な人はいっぱいいるのに」


「別に、敦賀さんが綺麗なもの見たけりゃ、鏡見ているのが一番効率的でしょ。あの人は実力持っている人を認めるんでしょ?」


「でも、別に晶さん演技が出来る訳じゃないのよ?スタントの仕事はすごいけど・・・それは、敦賀さんだって同じぐらい出来るもの。だから、最初は敦賀さんとあんなに険悪だったのに、今じゃ打ち解けているし・・・そりゃあ、全体的なアクションの指導も請け負っているけど、一応私のスタントで、他にも指導の人イッパイいるのに、敦賀さんにばかり構いすぎというか」



「・・・・・・・・・・」



「モー子さん?」



とどまる所を知らない上に、一貫性もなく支離滅裂なキョーコのトークを、奏江は思いっきり目を細めてじー・・・・と見ていた。

いや、違う。一貫性がないのは当然。なにせ核心的な部分を迂回して話しているんだから。


奏江の様子に気付いたキョーコは首をかしげた。



「私、晶さんの話をしていたんだけど、なんで敦賀さんの名前がこんなに出てきているのかしら」


「え?」


奏江の台詞に、言われてみればそうかも・・・と思ったが、そもそもが最近あの二人をセットで見る事が多いのだ。どうしても話が繋がって来る。


「それって、イライラしているのは晶さんじゃなくて、晶さんと敦賀さんのセットにイライラしているって事よね?」


「・・・・・・・・・・・・」



「名前で呼んでいるのがらしくないって、アンタだって本名で呼ばれているんでしょ」


「違うわよ!さん付けだし、名前じゃないし・・・晶さんは・・・呼び捨てなのに・・・職場なのにいいのかしら・・・」


「はぁッ・・・・アンタも社さんみたくキョーコちゃんとか、キョーコって呼んでもらいたいの?」


「まさか!恐れ多い!!」


「じゃあ、敦賀さんが晶さんと呼び合うのが単に気に食わないんだ」


「・・・・・・・・・・・・」



「晶さんが敦賀さんにばかり構いすぎなのが面白くない?」


「そんな事!」


「そう聞こえたけど?」


「・・・・・・・・・・・」



「第一、敦賀さんがちゃんと食事をするなら、誰が言おうといい訳でしょ?アンタが言わなきゃいけないって理由もないんじゃない?」


「それは・・・・・」



そうなんだけど・・・・認めたくない・・・・本当は自分があのヒトにとって、もういらない存在だって、認めたくない。





「嫉妬でしょ?」





キョーコの無表情での何度目かの黙りこくりに、奏江は同じく何度目かになる溜息をついて、コーヒーに口をつけた。

いい加減、ここまで導いてあげたんだから自覚して欲しいのだが、最後まであがくのは流石ラブミー部員。

パッと無表情から一転、笑顔を顔に張り付けた。


「何言っているの、モー子さんったら。演技の面で嫉妬する事はあるかもだけど・・・私、敦賀さんを尊敬しているのよ?」


「この場合、嫉妬しているのは敦賀さんじゃなくて、晶さんにでしょ」




「第一恋とはもっと甘酸っぱいもので、こんなドロドロしたものじゃあ・・・」


「へえ、恋だと思ったんだ。」



「・・・・・・・・・・・・・・・」




奏江の意外そうな台詞に、一瞬キョーコは怪訝な表情をした後、自分の発言に気付き思いっきり青ざめた。









長くなりそうなので、切断!