向日葵の恋7 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

「あら、嫌だわ。バランスが悪いわね・・・・。監督、ここもう少し下がった方がいいですか?」


モニターチェックをしながら、杏美が呟くと、それを遮るように蓮が口をはさんだ。


「いや、君が下がると表情が判別しにくくなる・・・俺がもう少し前に出るよ、監督いいですか?」

「うん、それでもう一回やってみよう」


監督の号令にスタッフが動き始めるが、杏美はまだ難しい顔をしてモニターを見ていた。

それに気付いた蓮が苦笑して声をかける。


「何か他に気に入らない箇所でもあった?」

「ん~・・・・まあ、撮影がはじまったばかりだからね~・・・」

「ああ、雰囲気が余所余所しい?」

「どうも『司』と『薫子』の立ち位置が掴みきれないわ・・・」


ダメね、と溜息をつく杏美に蓮も再度モニターを覗き込む。

設定上は『司』が『薫子』に想いをよせているとなっているが、恋愛ドラマで無いのもあり、そのあたりの描写がまだ上がってきていないのだ。

今後どういう展開に入っていくか、今はまだ台本まちの状態だ。


「もう少し、『薫子』を意識するように動いていくよ」

「・・・・そうね、お願いね。期待しているわ」

「ご希望に添えられるよう、頑張るよ」


杏美が蓮の肩を叩いて笑えば、蓮も片手をあげてそれに応えるように笑う。


そんな二人のやり取りをキョーコは少し離れた所でぼんやりと見ていた。

「凄いね、あの二人・・・・息ぴったりだ」

「相川さん」

話が聞こえていたのか、相川に同じ感想を言われ、ドキリとしてしまった。

「事務所も違って、共演は初めてだって言っていたのに・・・相性がいいのかな」


何気ない相川の台詞に、キョーコは知らずに身を強張らせていた。

いい現場になりそうで、よかったよ!とニッコリ笑っていう相川の言葉にキョーコは何と答えていいのか判らなく、ただ「そうですね」としか言えなかった。




*************



「君のお兄さん、ずいぶん有名なプログラマーだったらしいね」

「・・・・・・」

「銀行の通帳を確認したら、先月末に1000万円の振り込みがある。何の仕事の報酬かわかるか?」

「・・・・・・」


尚もだんまりを続ける『海』に『司』はイラつきを隠さずに溜息をつく


「君ね、君の依頼なんだ。少しは協力してくれないと困る」

「・・・・・・・知らない」


仏頂面でやっと話したかと思えば、内容が内容で『司』は思わず舌打ちをした。

そこへ、『薫子』が外回りから戻ってきた。


「海ちゃんのお兄さんが、亡くなる直前に友人宛にROMを送っているわ。内容確認してもらえる?」


そういって『薫子』が『司』に預かってきたROMを渡し、『司』はそれをパソコンにセットした。

途端に画面上に英文字や数字の文字列が覆いつくされる。


「暗号化されていますね。解除コードが必要だ。演算して解読していかないと・・・」


『司』はあきらめたように呟いた。ここまでくると専門外だ。

時間はかかるが『薫子』のツテで専門家を探して、依頼をするしかない。


すると、それまで静観していた『海』が黙ってパソコンに座り、ものすごい勢いでキーボードを叩き始めた。

全くの迷いもなく、よどみなくパソコンを駆使していく姿に『薫子』も『司』も呆気に取られた。


「君・・・・」


ビーという音とともに、解除コードが表示される。



「こんなのも出来なくて探偵なの?」


つまらなさそうに『海』が呟いた。





***************


「『海』は少し『雪花』に似ているね」


「はい。なので私も感情移入しやすかったです!とは言っても違う所もいっぱいあるんですけど・・・口は悪いし…第一『雪花』ほど病的にブラコンでもないですし」


くすくすと笑うキョーコに蓮はそっと肩を抱いて引き寄せて、耳元で囁いた

「『海』は俺に冷たいしね。『雪花』みたく一緒にお風呂に入ろうとしたり、同じベットで寝たりはしてくれない?」

「ななななななな何を!!」


真っ赤になって慌てるキョーコが可愛くて、蓮はチュッと額に口づけた。


今日の撮影が終わり、お互いラストだった蓮とキョーコはそのまま一緒に事務所に戻る態にして、蓮のマンションへ帰って来た。


食事を終え、ソファーに並んで座りながら次に撮影するシーンの読み合わせをしていたのだ。

だが、先ほどから蓮が事ある事にキョーコに触ろうとしてくるので、キョーコも赤くなったり照れたりで落ち着かず、一向に進まない。


「あ、あの・・・敦賀さん・・・」

「ん・・・・?」


そのまま、頭のてっぺんから頬から鼻まで、顔中にキスを振らせてくる蓮にキョーコはくすぐったさと恥ずかしさで思わず首をすくめる。


「あの、読み合わせ・・・」

「次回の撮影分は終わっただろ?」

「でも・・・・」

「今日、同じ現場にいたのにほとんど一緒にいれなくてキョーコ不足なんだ。補充させて?」


私はケータイのバッテリー?


と思わず突っ込んでしまったけど、蓮の言葉に胸がツキン・・・と痛んだ。


『だって、敦賀さんはほとんど桐崎さんと話していたじゃないですか』


思わず浮かんだ台詞を慌てて飲みこんだ。何て事を言おうとしたんだろう、自分は。

絡みの多い主役二人が打ち合わせをするのは当然じゃない。

あの二人の視点や意見は監督も認めていて、今日の現場では嫌って程それを見せつけられた。


敦賀さんと肩を並べられる人


自分はまだ、あそこまで行けていないんだって・・・私じゃダメなんだって・・・ついそんな事を思ってしまった。


「キョーコ・・・今日相川さんとずっと話していたね」

「え?ええ・・・いい人ですよね。私にも気を使って下さっていて」

「・・・・・・・・そうだね」


ついつい暗い方向に気持ちが落ちかけていたが、蓮の言葉で現実に戻される。


「?あの・・・・」

「何でもないよ、ねえ・・・・もっと補充・・・・させて?」



何やら考え込んだ蓮にキョーコは疑問を浮かべるが、すぐに蓮が艶やかに微笑んだので一気に固まってしまった。

そのまま深く口づけをされて、気が付いたらソファーに押し倒されていた。

唇に、首筋に、胸元に口づけが落ちてくる。

体全体に蓮の温もりを感じて安心する。慣れた手つきが、身体中のに熱を付けていくのを感じながら、所徐に力が抜けていき、蓮にされるままとなっていく。



キョーコの懇願によって二人が寝室へと消えたのはその1時間後だった。