【キョーコ&光 カップル】
「今日からよろしくお願いします、光さん」
「くす。光さんじゃないよ、奥さん?」
「え?あ・・・、あああああああアナタ・・・・」
顔を真っ赤にしてして言うキョーコに光は幸せで震えていた。
思い続けて苦節○年!やっと、やっと京子ちゃんと結婚できるとは!!(あくまでバラエティーの企画だという事はこの際置いておいて)
「じゃあ、今日は新居に必要なものを買いに行こうか。」
「はい!私、あそこショッピングモール行くの初めてなんです!!」
「来週に、敦賀さんとサキちゃん夫婦を新居にご招待するから、ティーセットも買わなきゃね」
「・・・・・・ソウデスネ」
サキちゃんというのは、蓮が今回パートナーを組むアイドルの名前だ。現在蓮が主演しているドラマのヒロインで出ている。
『敦賀さんとサキちゃん夫婦』という単語にもやもやしたものを感じ、先日の蓮との夜の事を思い出し、キョ―コはじゃっかん顔をひきつらせた
「京子ちゃん?」
「何でもありませんよ?さ、行きましょう!まずはキッチン用品を見てもいいですか?」
そう言って、二人都内でも有名なショッピングモールへと買い物に向かった。
「見てみて京子ちゃん!このお皿可愛いよ」
光が差しだしてきたのは、お花柄の大皿だった。可愛いもの好きのキョーコなら食いつくだろうと思ったのだ。
「可愛いですね!・・・・でも、少し大きいかも・・・」
「え?そう?」
「はい・・・ただでさえ小食ですから、あまり威圧感のあるサイズは・・・最初から取り分けておかないと食べないし・・」
「え?何の事??」
光の疑問にキョーコはハッとなった。
(しまった!つい敦賀さんに食べさせる事を前提に考えてしまったわ!)
「ななななんでもありません!!!あああああ!この湯のみ可愛いですね!!!」
挙動不審に話を変えるキョーコに光は首をかしげるが、キョーコの示した湯のみにすぐ反応した
「本当だ。あ!これ、夫婦湯のみだよ。こっちの夫婦茶碗とセットになっている」
光が取り出した茶碗セットを見て、キョーコは目を輝かせた
「いいですね。これが食器棚に並んでいたら、なんだか嬉しいですね」
「そうだね、この茶碗でご飯食べて、食後にこの湯のみでお茶とかいいよね」
「・・・・でもどちらかと言うとコーヒー派なんですよね・・・。最近はお酒をすすめてくるし・・・」
「え?京子ちゃんコーヒー派なの??」
「はい?」
キョーコはまたまた蓮の事を前提に考えていた事にハッとした。
(駄目だわ!私、どれだけ敦賀さんに占領されているのよ)
キッチン関連はダメだわ!とキョーコは別の分野に話を振った。
「あああああの!私、妖精のオルゴールとか見たいです!!家に飾りたいんです!!」
「え、ああ、うん!いいね。女の子らしいし。他に新居に置きたいものある?」
「う~ん・・・あ、薔薇の花びらとか・・・お風呂に浮かべたら素敵ですよね。バスアロマとかで無いでしょうかね」
(よく敦賀さんが入れてくれるんだけど毎回だと勿体無いから辞めてって言っちゃったのよね・・・)
だって、あの人わざわざ花束にして買ってくるし・・・第一いつも気が付いたら入れられている事が多いし・・・それも一緒に・・・・
思わず思いだしてしまい、顔が真っ赤になってしまう。
それを光は「京子ちゃん照れちゃって可愛いな~」と勘違いしていた。知らぬが仏である。
その後も、家の中のものを何を見ても、つい蓮の事を前提に考えている自分に気付いた。
フリフリのレースのカーテンを見て、欲しい!と騒いだ後に「でも敦賀さんは嫌かしら」と思ってみたり、ソファーを見れば敦賀さん足が長いからもう少し高さがないと、とか、ベッドカバーを見てもあのベッドには足りないだろうな・・・とか・・・・・
(おかしいわよ!なんで今日に限ってこんなに思いだしてしまうのかしら)
ドラマと違って役は憑いていない上に、シチュエーションは「新婚夫婦」である。
無意識に蓮を思い浮かべてしまっている事に気付かないキョーコであった。
【蓮&サキ カップル】
「今日からよろしくお願いしますね。アナタv」
「うん。よろしくね。サキちゃん」
「いやだ~。夫婦なんですからサキって呼んで欲しいな~」
「あはは、とりあえずは新婚だからね。こっちの方が初々しい感じがあっていいかなって思ったんだけど、ダメかな?」
「え~。それもそうですね~。いいですよ~」
日付かわって、蓮&サキのカップルで、こちらは今日は「新居のお片づけ」のシチュエーションだ。
早速番組が用意した新居へ行き、家の中を探索する。
「キャ~!見てみて~!!このお庭素敵~!!」
ガーディニングされた庭を見て、蓮も微笑む
(キョーコが喜びそうだな。白い椅子とテーブルとか置いたら尚いいかも・・・)
それを思い出して蕩けるような微笑みを浮かべている事に蓮は気付かない。
「季節に応じて、お花を植えるのもいいですね~」
そう言って、サキが振り返ると途端に蓮の神々しいスマイルに真っ赤になって絶句してしまった。
「・・・・そうだね・・・でも野菜とかも植えたがるんじゃないかな」
(今も簡単なハーブとかは作っているみたいだし)
「(ポ~)・・・・え、野菜ですか~・・・敦賀さんがお望でしたら~・・・」
噛み合っているようで噛み合っていない会話に、撮影のカメラを見ながら社だけが青くなって胃を押さえていた。
その後も二人は部屋の掃除やら模様替えやらを行った。
ところどころで、蓮がトリップしてしまい大変だったが、何とか撮影をすすめていった。
「ちょっと疲れましたね~。近くを散策しがてらお茶に行きませんか~?」
「そうだね」
そう言って、二人近所のカフェに入る。出てきたマスターに「新婚なんです~」とアピールすることも忘れない。
(そういえば、キョーコとあんまりカフェとかって行かないな)
大抵食事に行くか(それも社を含めてが多い)、バーで軽く飲むかだ。人目を避けるのもあるが、お互い忙しくて日中にそこまでのんびり会えないのだ。
(こうやって、昼間にのんびりカフェに行くのもいいな)
「私はホットティーにします~」
「じゃあ、俺はエスプレッソで」
「え~エスプレッソ飲むんですか~?大人です~」
「ははっ、そうかな」
「そうですよ~。あ!じゃあ、新居にエスプレッソマシーン置きましょうか~」
「そうだね・・・それだったら俺でも美味しく入れられるかな」
(キョーコがよく豆を買ってきてくれるけど、俺一人だったらインスタントで済ませちゃうからな。)
本当は毎朝キョーコと一緒にコーヒーが飲めたら・・・
でも、大抵キョーコは朝起き上がれないから、俺がコーヒーを入れる担当って決めてもいいな。
「・・・・・で、いいですか~?」
「え?」
サキが何か話していたらしいが、トリップしていた蓮は全く聞いていなかった
「もうっ!来週の光さんと京子ちゃん夫妻の新居にお邪魔する時のお土産ですよ~。ケーキなんてどうですか~?さっき美味しそうなケーキ屋さん見つけたんです~。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいんじゃないかな」
『光さんと京子ちゃん夫妻』という単語に蓮の気分が一気に下降する。
サキは「あら?冷房温度下げたのかしら~」なんて言っていたが、撮影隊の後ろに控える社はキリキリ痛む胃を押さえながら、黙って携帯を取り出した。
その何日か後のLME社長室
「社長、富士テレビの近藤様がお越しです」
「おう、通せ」
何やら、企んでいる某社長がニヤリと笑っていた。
意外とネタが次から次へと出てきました。
一人ニヤニヤしながらポチポチと打ちました。
キョーコの相手は光か貴島か迷ったんですが・・・まあ、お約束で。