「静かに・・・しずかに”海”がやって来る。西和泉町はすでに、”海”だった」・・・毎日、海面が上がってきて街が次々と海となってゆくんです。みなさんの街もやがて海になってしまうかも・・・ 「ショートショートの広場」の中にある58作品の一つ安土萌さんの「海」を読んでみました。
「ショートショートの広場」 星新一 編 講談社文庫
以下、「あらすじ」です。 美味しいところを書き抜いただけです。ズルしてゴメンナサイ(笑)
本和泉町は、『もといずみ児童公園』のブランコのところまでがきっちり”海”になっていた。
町の西から東へ向かって、海は毎日その領域を広げてゆくのだ。
子供たちはいつものように公園にやってくると、海ぎりぎりのちころで銀色に光っているブランコで遊んだ。
次の日、公園は全部”海”になっていた。それから”海”は本和泉五丁目と六丁目を藍色一色に染め、烏山団地の2号棟の手前まで来た。
1号棟はすでに”海”になっていた。住民たちが昨夜、避難したという話は聞かない。
1号棟が”海”になったおかげで2号棟は素晴らしい眺めとなった。奥さんたちはキラキラ輝く”海”をぽかんと見詰めた。
その翌日、”海”は烏山団地全域を”海”に変え、東和泉町三丁目の交差点のところまでやって来た。
とうとう、”海”は東和泉町一丁目の私の家の前まで迫ってきた。
低い垣根を境に、目の前の芹本(せりもと)さんの家はすでに”海”と化していた。 ご家族が皆どうなったのか、私は何も知らない。
よい天気だった。見わたすかぎり、不思議な、静かな”海”が広がっていた。
私は押入をゴソゴソやり、古い釣り道具を見つけ出してきた。
低い垣根を少し壊して“海”と庭との境に陣取り、釣り糸を垂れた。
小さなハゼが4匹釣れた。けれどバケツの中でじっとしている4匹を見ていたら、なんとはなく芹本さんの一家を思い出したので、すぐに”海”に戻してしまった。
水平線に真赤な太陽が沈むと、釣り具をかたづけて家に入った。
夜とともに“海”が来るはずだった。私の処へも・・・。
<コメント>
このところ、天候不順で公園・庭園の散歩ができません。 やむを得ず、読書三昧です(笑)
<感想>
〇 「海が迫って来る」・・・全くの空想とは言えませんよネ。温暖化で南極(北極?)の氷が溶けだしているそうじゃないですか
今のうち、人生を楽しんでおきましょう(笑)