いずみの母親やその親戚は

手塚治虫さんの作品が大好きで

テレビアニメも観ていたし 子どもの頃に

「ブラックジャック」が全巻揃っていた。

ブラックジャックと呼ばれている

非常に腕のいい無免許医師が

奇抜なやり方で次々と病人を治していく。

その中に、社会の風刺や

価値観に対する問いかけが含まれていた。

 

と、記憶している。

いずみの言う事だ、信用ならねえ。

ググってくれたまえ。

 

 

 

 

 

いずみの母親は病気による障害者なんだけど

いずみが二十歳過ぎ頃から病気を発症したと記憶している。

二十代の10年くらいは、母の病気によって

いずみも右往左往していた。

 

もう治る事は無いと言われ

月に一回か二回の通院が固定となっていた。

けれど、これはこの病気の症状ではない、

明らかに様子がおかしい。それに伴いいずみは

いろいろな後始末や掃除で 殆ど夜眠れない。

もう、仕事に行くのか辛いくらいに。

 

 

「お願い、病院の先生に症状を伝えて、

 新しく検査をしてもらって。

 違っていたらそれはそれで、病気が

 増えてなくて良かったに過ぎないんだから。」

(でもこの症状は異常)

 

父は言った

「お前は医者なのか?

 先日も病院に行ったが何も言われなかった。

 何も知らないくせに口を出すな。

 お前はいつも余計な事しか言わない。

 黙ってろ。」

 

 

 

先日、病院に行ったばかりなのに

母はどんどん症状が悪化し、

短期間で物凄く痩せた。

 

 

 

 

 

母はその次の通院で検査を受け、

次の通院を待たずに即入院となった。

バセドウ病だった。

 

 

 

何を言っても信じてくれない父親に

ブラックジャックの中のある章を読ませた。

病名はバセドウ病、全て母の症状と同じだった。

母は一晩中トイレとベッドを行き来して

その度にいずみが掃除をしていたが

家族に関心の無い父は全く知らなかった。

いずみの言う事は信じないけれど

手塚治虫さんが描いている事ならそうだろうと

通院の際に医師に伝えたのだろう。

ピンポイントで甲状腺の検査をしたのだから。

 



スポンジのように吸収する小学生の時に

ブラックジャックを読んでいたので

そこに出てきた病気だけは全て覚えていた。

漫画本を引っ張り出してこなくても

これはバセドウ病だろうとすぐに分かった。

けれど東大入れない奴全てバカ、

俺以外全てバカ、と思っている父にとって

いずみの言う事などインチキ占い師レベルに信用しない。

 

 

だからブラックジャックの漫画が残っていたのが

せめてもの救いだった。

これが無かったら検査に繋げられなかった。

 

それにしても。

 

二週間に一度通院して来る患者の異変に

ここまで症状が悪化しても気づかない医師の怠慢よ。

あなたいずみ以下ってことよ?

 

 

 

息子が4歳の時にこんな事もあった。

風邪様の症状で受診するも

全く良くならないどころか

顔色は青ざめ、唇は白くなり、

食事が喉を通らなくなってきた。

症状は割愛するがこれは肺炎だと思った。

どの医師も否定し、

レントゲンを撮ってもらえなかった。

最終的に総合病院に行ったけどここでも否定され

「お願いします、レントゲンで異常が無ければ

 肺炎ではないし、そこから他の病気の見当を

 つけてもらえないでしょうか。」

 

肺炎だった。

入院しますか、毎日点滴に通いますかと

聞かれたので通いますと言った。

心の底からほっとした。

 

 

 

これらの事があって、

フィルターを通して物事を見る事が

いかに恐ろしいことか、

いかに間違っているかを思い知った。

 

確かに知識が豊富な人や頭の良い人が

得意分野や専門の事に関して言うなら

正しい事は多いに決まっている。

だけどそれ以外の人が全て間違いである

そういう前提を持っていると

思考停止による間違いが起こってしまう。

母の病気がいい例だと思う。

 

 

知識も無く頭も悪いいずみが

なぜそれらの病気に気づいたかというと

対象人物への愛情からくる

観察と探求だと思う。

 

 

元気になってほしい一心だった。

 

 

今はもう母を手放したけれど

そうするまではどの子とも同じように

母の事が大好きだった。

だからもう、子どもとして十分に母の事は

愛してきたと思っている。

それでも通じないのであれば

大人になった子どもに母親はもう必要ない。

 

 

 

 

 

 

手遅れになりそうなほど悪化した母を

救ってくれたのはブラックジャックだ。

現実でも彼はヒーローだった。

 

 

毒親育ち・虚弱・ダメ人間母だけど

息子の肺炎を見つけた時、

そしてそれを医師に強く訴えた時、

お母さんはヒーローになった。

 

 

ヒーローって、

ぶっきらぼうだったり、無免許だったり、

冷酷なところがあったり、見た目が怖かったり。

虚弱だったり、頭が悪かったり、

ポンコツだったり、BBAだったり。

するんだよね。




おい、ヒーローのくせに

夫のハラスメントや問題行動そのままにして

ダサくね?

 

 

 

 

 

 

 



うちで採れたラズベリーゼリーシリーズの

昨年のもの。

ハウスのゼリエースってまだあるんだよ!

懐かしくてたまに買ってる。


でもね、昔からある商品も

昔のままってわけじゃなくて、

原材料や配合量が変わったり

微妙に味が変わったりして

すこーしずつ変わってる。


大抵の事はそれでいいと思うけれど、

食べ物はちょっと残念に感じるいずみ。