いずみにはお姉さんのように慕っていた人がいた

彼女はいずみが中学生の時

22歳という若さで亡くなった

白血病だった。

本当の病名は亡くなってから知った。

 

大切な人が亡くなるのは

いくつであっても辛いけど

中学生のいずみはまだ

人の死を受け入れるには幼過ぎた

 

以来白血病の記事やテレビは

一切見聞きしなくなり

松任谷由実さんの「ひこうき雲」は

聴けなくなった

 

いずみの体感だと

彼女が無くなってから数年で

ものすごく医療が発達した気がする

白血病になっても

元気になる人たちがどんどん出てきて

凄く進歩したんだなと思うと同時に

今なら助かったんじゃないかと

どうしても思ってしまっていた

 

全く負けず嫌いじゃないいずみが

この事だけは悔しかった

 

 

 

そしてうんと大人になってから

やっと気づいた

それはもう恥ずかしいくらいずっと後

 

 

妹みたいに思ってくれていた彼女が

自分の事でいずみがこんな風に思っていたら

彼女が悲しむのではないかと。

彼女はいずみと違って

とんでもなく優しく強い人で

自分の死後医療が発達して

自分と同じ病気の人たちが助かるのを見て

きっと嬉しかったに違いない。

 

そんなことも分からずに

自分が寂しいばっかりに

いつまでも彼女の死を受け入れられず

医療の進歩にさえ複雑な気持ちでいるなんて

本当に自分の事しか考えてなかった

 

それに加えて

結婚したにも関わらず

自分の人生を上手く進められない

今のいずみを見たら

どんなにか悲しむだろう。

どっかで見てるかもしれない。

ごめん。

 

自分が幸せになることは

自分の為でもあるし

当たり前の事でもあるし

また、自分以外の人も

幸せにするかもしれない事なんだね。

 

いずみも、

この人に幸せになってほしいなって

人が居るもん。

 

人って

幸せになるために生まれたわけじゃないけど

やっぱり

自分の幸せを目指した方が

人生として楽しいだろうなって

今は思うよ。

 

 



 子どもか小さいとき

さくらんぼの種をまいたら芽が出て木になって

数年後に花が咲いた

こんなことを彼女に報告したかった


 

 追伸

全ての白血病の方が、

治癒され元気になられますように。