2008年に起こった事なのに全然

知りませんでした。

 

「ホテル・ムンバイ」

 

 

ホテルの従業員アルジュン

(デヴ・パテル)

ホテルの料理長オベロイ

(アヌカム・カー)

大富豪の娘ザーラ

(ナザニン・ボニアディ)

ザーラの夫のアメリカ人デイヴィッド

(アーミー・ハマー)

二人の子供のベビーシッター、サラ

(ティルダ・コムハム・ハーヴェイ)

ロシア人ビジネスマン、ワシリー

(ジェイソン・アイザックス)

 

この事件を知らなかったから余計に

ショックが大きくて

 

冒頭から一瞬も目が離せない

 

実話がもとになってるので物語は

事件を読めば判る

 

この映画は事件を忘れない為だけでなく

色んな感情を持たせてくれた

 

貧しい地域に慎ましく生きるアルジュン

 

毎朝ターバンをきっちり整える

敬虔で勤勉なシーク教徒

 

ホテルのプライドを絶対に守る

厳しい料理長

 

その厳しさと優しさはアルジュンの

ある失態に対する態度で判る

 

万全の準備で部屋を整える

バトラー

 

裕福な国際結婚夫婦

 

嫁はホテルのVIP

旦那は高級レストランでも

ハンバーガーを頼む無頓着

 

注がれた飲み物ではなく栓が

されたボトルでしか飲まない

ロシア人

 

これは常に毒殺される危険と

隣合わせの人生を表してる

 

これで彼がまっとうなビジネスマンで

ない事が判る

 

テロが起こるほんの数分間のシーンだけで

ここまで登場人物の性格が判るように

作られるのはすごい

 

そこからテロリスト達の怒涛の殺戮

 

テロリストが入った瞬間

「ここは天国?」と言った場所が

地獄に血塗られていく

 

もうずっとハンカチ握りしめながら

見てました

 

この映画はテロリスト達の側面も

描いてます

 

彼らは知らな過ぎていてその上

簡単に染まりすぎていた

 

純粋に「宗教の為」だけでなく「家族の為」

という俗物的な理由もあって矛盾も抱えてた

 

だからといって共感する事はできません

 

テロリスト達が人質に指図する際に

自分達の言葉で指図するけれど

人質達は外国人だから判らない

 

だけどテロリスト達は自分達の言葉が

通じない事の方を不思議に思う

 

このシーンはぞっとした

 

彼らは世界が広い事すら知らされてない

色んな言葉を話す人たちがいる事も

色んな考えを持つ人がいる事も


ただ自分達が貧しいのは他宗教を

信じる奴らが搾取するからだと

叩き込まれてる

 

教育が施されず、ただ一方的な

「洗脳」だけされると人はこんな考えに

なってしまう恐怖

 

なぜ一度立ち止まって考えて

みないのか?

 

彼らが手にしている武器の値段を

 

その爆弾の値段は?

そのカラシニコフの値段は?

その銃弾一発で何人が食べ物に

ありつける?

 

豊富な武器を調達できる人たちが

その分のお金を自分達に使って

くれたら世界がよくなるのに

 

彼らは考える事すら与えられてない

 

指示を与える側は危険のない

高見の見物をしている

 

この事件が起こる前に公開された

トム・ハンクス主演の

「チャーリーウィルソンズウォー」

 

ここのラストで「学校を作る事が大切だ」

といったセリフがあり、今作を見て

改めて痛感しました。

 

ムンバイにテロ対策の特殊部隊は

駐在しておらず、遠いデリーから

やってくる

 

日本も他人事ではない

 

今開催中のラグビーがつつがなく

終わるのはもちろんの事

 

来年東京五輪を迎えるにあたり

対策考えておかないといけない問題

 

テロを未然に防ぐのは当たり前だけど

全世界から観戦客がやってくる

 

もし万が一テロが発生した場合、

日本国中どこでも特殊部隊が

早急に到着可能にしておいて欲しい

 

この作品に「ヒーロー」はいません

 

ただ自分の仕事に誇りをもって

お客様の命を守った従業員たち

 

自分の愛する人を助ける為に

行動を起こした人たち

 

そういう人人たちがスクリーンに

力強く描かれています

 

以下ネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこの映画、かなり風刺が効いてる

 

アメリカ人であるデヴィッド

レストランで「ハンバーガー」頼む

 

インドで多数派であるヒンドゥー教徒

ヒンドゥー教で牛は聖なる生き物

食べるはおろか殺生も禁止

 

それを知らずにインドに来てる

 

「郷に入れば郷に従え」を知らない

アメリカ人を描いてる

 

イギリス人の女性客に

シーク教徒の証のターバンと髭を

恐れられたアルジュン

 

控えておけと言われても敢えて

言葉を交わして理解し合おうと

努力する

 

そういう小さな一歩ができればテロなんて

起きないのに

 

最初はエロ親父の嫌な奴と思ってた

ワシリー

 

みんなが避難してた場所から外に

出る時に料理長が「祈ってます」と言われ

言い放った言葉

 

「祈りは全ての元凶」

 

全ての争いは宗教絡みだもんね

 

しかしその大胆さはどこから来るの?

テロリストのボスが教えてくれた

 

ソ連時代の特殊部隊あがり

そりゃあ何度も死線くぐって

生き残ってきたのよね

 

そんな「神」を信じてなさそうだった彼

はだけられた胸にはしっかり十字架が

 

これはしっかり見えなかったけど

十字架の中にロシア正教の十字架が

刻まれてるタイプやったんかな?

 

イスラムが一番敵視してるキリスト教

 

ワシリーの複雑な性格を垣間見た

感じがした

 

しかしどこの国でも事件の最中の

マスコミには困ったもんだ

 

「ダイ・ハード2」で飛行機から不安を

煽る情報を流したやつみたいに

 

わざわざ安全だった場所をリークして

しまうバカな奴もいる

 

それを平気で放映してしまうマスコミ

2008年よりも誰もがレポーター時代

SNSでの情報開示もよく考えて!

 

自分の信じる宗教の為に異教徒の

殺戮をよしとしてきた幼いテロリスト

 

しかし同じイスラム教徒を目の前にして

異教徒でないというのに「殺せ」と

言われたら?

 

それでなくても異様な緊張が続くなか

自分の知らない世界が世の中には

いっぱいあるのを見せつけられて

 

負傷もして、約束されたお金は

家族に払われてない

 

揺らいできてた信仰心が同胞を

殺せと言われたら

 

心のキャパシティー超えちゃいますよね?

 

こんな事件があってもテロに屈しないと

3週間後にはレストランを再開させた

料理長、頭が下がります