アメリカの闇、未だ深し

 

「スリー・ビルボード

 

 

娘を殺されたミルドレッド

(フランシス・マクドーマンド)

殺されたアンジェラ

(キャスリン・ニュートン)

アンジェラの弟ロビー

(ルーカス・ヘッジズ)

元警官でミルドレッドの元夫チャーリー

(ジョン・ホークス)

チャーリーの19歳の恋人ペネロープ

(サマラ・ウィーヴィング)

町の警察署長ウィロビー

(ウッディ・ハレルソン)

徹底的な差別主義者警官ディクソン

(サム・ロックウェル)

看板広告社のレッド

(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)

ミルドレッドを気に掛けるジェームズ

(ピーター・ディンクレイジ)

ウィルビーの妻アン

(アビー・コーニッシュ)

ミルドレッドの同僚デニス

(アマンダ・ウォーレン)

黒人の警察署長アバークロンビー

(クラーク・ピーターズ)

 

ほとんど車が通らない道に掲げられた

3枚の看板

 

何度も映される表側と裏側

 

犯人捜しだけなら表側を映し続ける

だろうけれど、裏側の方が映る事

 

その事がこの映画の一つの本質を

物語ってる

 

もう一つの本質は「怒り」「憎しみ」

この感情をどうするか

 

大人だから感情を抑え込める

人間はそんな単純なものでない

 

若いからちゃんとした事を言える

訳がないと思う大人達

 

その両方を覆えすのがある若者が

言った言葉

「怒りは怒りをきたす」

 

これは「負の連鎖」を引き起こす事

でもあるので深い

 

言った本人は引用だから対して

気にしてなかったかもしれないけど

その言葉にハッとさせられる

 

ミルドレッドは怒りに囚われてる

 

寂しい思いをしてるロビーという

大切な子供もいるのに

 

私はこの映画で一番可哀想なのは

ロビーだと思った

 

アンジェラが殺された悲しみは

母と同じ位深いやろう

 

その事実を少しでも忘れようとしても

3枚の看板がそれを許してくれない

 

そんな彼は別れた父親の訪問を

とても喜んでた

 

学校で色々言われてもグレずに

まっとうな行動をして

 

ミルドレッドの怒り、ウィロビーの行動

ディクソンの愚かさ

 

それを色々考えていたらこの映画

寛容さを持ってたのはロビー・レッド

そして身体的特徴を持つジェームス

 

いい大人達が感情に任せて行動

する(ウィロビー含め)のに比べて

他人の事を思いやる若者達

 

これはアメリカの闇の中で希望を

持たせてくれたのかな?

 

そしてジェームスに関しても

彼は最後まで紳士的やった

 

それを汲み取ろうとしない方が

人間的にいびつだと思う

 

みんなウィロビーの事をいいように

書いてはるけど、そうかな?

 

ネタバレになるから下に書くけど

私は彼の行動は納得いかない

 

ラスト、答えは多分もう出てるんだよね

 

以下ネタバレあります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずミルドレッドはアンジェラに対する

自分の態度を悔いてる

 

自分が頑固に車を貸さなかったから

 

だから犯人が捕まらいままだと

その後悔の念が消えない

 

この母の後悔と意地は以前みた

「シークレット・アイズ」と通ずると

感じた

 

ミルドレッドの警察嫌いはアンジェラの

事件から始まったんじゃないと思う

チャーリーも元警官というセリフがあった

 

DV旦那が人を捕まえる警察

なのに本当の悪人は捕まってない

 

チャーリーへの恨みも入って

過激な行動が進んでいったと

思わざるをえない

 

そんなチャーリーのお相手、

19歳のペネロープ

 

彼女はおバカさんのようだけど

動物の飼育してるだけあって

直観的で素直に的を得る

 

ロビーはちゃんとした対応をしたのに

牧師に暴言を吐くミルドレッド

 

多分彼女はアンジェラを理不尽に

失ってしまいこの世の中に神は

存在しないと気付いてしまった

 

だからこそ呑気に宗教にすがる

気持ちも無くなった

 

彼女のギャングと教会組織は同じ

という説、全く同感

 

それも女子を襲う例えでなく

男子を襲う例えにしたとこが

キリスト教を皮肉ってる

 

宗教絡みとしてはみんなウィロビーの

死を悼んでたけど、ちょっと待って

 

キリスト教で自殺は大罪

 

こんな田舎で教会の権威がまだ

効いてる小さな町

 

そんな町の中で尊敬されてる警察署長

彼自らが自殺していいの?

 

ディクソンはウィロビーの手紙で改心

したのか?

 

ウィロビーの死と手紙、それに伴う

自分の居場所の喪失

 

ミルドレッドの行った行為は

許されない事

 

だけど彼女は何度も電話をかけて

人がいない事を確認してた

 

ディクソンは人の言葉に耳を傾けない

象徴のようにイヤホンで外の音を

遮断してた

 

もしかしてイヤホンをしてなかったら

あんな事にならなかったかも?

 

ディクソンが守ったアンジェラの資料

それじゃあ他の資料は?

 

しかし警察署で無人になる事あるの?

 

ミズーリ州ってやっかいなお土地柄

やのにそんなんでいいの?

 

映画だよというけれど、ファンタジーで

ないんだからご都合主義すぎてもねぇ

 

ディクソンの負の感情の捌け口として

理不尽にいためつけられて重傷を

負ったレッド

 

そんなレッドだけれど身動きできない

ディクソンの傍らにそっと置いた

オレンジジュース

 

そのストローは飲みやすい方向に向けて

 

ほんまにレッド、ええ子や

幸せになって欲しいよぉ

 

ディクソンは本当はお母さんを殺して

自分も死ぬ気やったんやろうなぁ

 

亀乗っけて寝てるお母さんを

切なそうに見ていた

 

猟銃を抱きしめながらミルドレッドと

電話して、自分を受け入れて

もらえたから思いとどまった

 

ラスト車中での二人の会話

人を受け入れる事ができるように

なったから何もしないと願いたい