みんなを抱きしめたい!

シング・ストリート 未来へのうた


家の都合で劣悪な学校に転校したコナー
(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)
コナーの兄で音楽好きなニート、ブレイダン(ジャック・レイナ―)
モデルを目指す大人びたラフィーナ(ルーシー・ボイントン)
コナーのバンドのマネ-ジャー的なダーレン(ベン・キャロラン)
楽器の名手エイモン(マーク・マッケンナ)
いじめっ子のバリー(イアン・ケニー)
規則に厳格なバクスター校長(ドン・ウィチャリー)

私はこの映画の監督の作品は見てません、今回が初めて。

前二作も絶賛されてたけど、あんまり音楽に頼ってる監督って
と思ってたのよね。

だけど今作を見て、考え改めました、前二作見てみたい!

転校しょっぱなからスクールカースト底辺に位置ずけされて
お先真っ暗のコナー。

そんなコナーに光を与えたのがラフィーナ。

彼女の気を引きたいが為にバンドを始めるのが可愛らしい。

そんなコナーに学校の便利屋であるダーレン、この子の家庭環境
もふとした台詞に表されてて、うまい!

ダーレンが引き合わせたエイモン、父親譲りの音楽の才能と
うさぎが友達という変わり者。

コナーとエイモンはそこはかとなく雰囲気がポールとジョン・レノン
を漂わしてる。

風貌的にもコナーは垂れ目、エイモンはメガネっこ。

そして学校の掲示板のメンバー募集の張り紙を見て「俺たちの事だ!」
と参加するベースとドラム。

彼等もいつも二人だけで音楽の話をしていたんだろうな、周りから
「ゲイ、ゲイ」と囃し立てられてた。

だけどこのベースの子がめっちゃうまい!
上の写真には隠れて映ってないけど、ちっちゃくて可愛い子

映画の演奏の音自体はプロの吹き替えやけど、いやいやしっかりベース
やってる指使いやよ。

小さな身体で華麗にチョッパーかますわ、妄想シーンではダブルベース
まで弾きこなしてる。

PV撮影時にはアダム・アントを意識して海賊、もといカウボーイ姿で
決めてて、アダム・アント知ってるだけでも通と判る。

複雑な環境のラフィーネ、でも自分の武器と夢はしっかりと持ってる。
そんな彼女がいたからこそコナーは自分の夢を持つ事ができたんだと。

大学辞めちゃったブレイダン、それは家庭の為なのか自分自身が何か
に負けてしまった為なのか?

そんなお兄ちゃんやけど、コナーに説く音楽や恋愛指南は的確。
先生になれば人気ものやったやろうな。

お母さんが無気力に座ってた階段にお母さんがいなくなった後
ブレイダンが一人座る姿が切なすぎた。

そして無気力に過ごしてると思えたブレイダンが心情を爆発させた時
こないだのアリス~とは逆で、ブレイダンの方がいい子やった
んやろうなぁと。

自分自身は一生懸命人生を切り開いて行こうとして、それをことごとく
邪魔されて思っていた自分になれなかった悔しさ、その気持ちを弟
に託したいけど羨ましすぎるもどかしさ。

妄想シーンのプロムパーティ、もしここでこの映画が終わってたら
こんなに深い気持ちにならなかったと思う。

あえてあのラストにしたからこそ、これからの世界に思いを馳せられる
観た人それぞれの「未来へのうた」が始まると思えた。

以下内容に触れてるのと個人的な思いで話満載です。










































私は音楽センスがなかったんでバンドは組んでなかったけど、
音楽が好きで友達のバンドのなんでも係をしてた。

だからPV撮影時のラフィーネみたいにみんなのヘアメイク
してあげたり、衣装を作ってあげたり。

それにしても「UP」を作り上げてる時の映像。
押さえきれない気持ちにエイモン宅に行って二人で曲作り
をしているシーンからのみんなでの演奏シーン。

エイモンのお母さんもノリノリでお茶運んできてエイモンに
キスすると照れて嫌がるエイモン、最高!

このシーンに似た時が高校時代にありました。

音楽仲間の一人が転校する時に思い出テープを録音しようと。
でもスタジオ借りるのはお金がかかる、機材はある。

何故か我が家は大音量が許される近所環境、さすがにドラムセット
は持ち込めなかったけど、ギターにベースにキーボード、アンプ
に録音トラックと友達大勢が朝から晩まで入れ代り立ち代り。

ピアノのある部屋でみんなあーでもないこーでもないと意見を
入れながら曲完成。

その時は我が母も喜んで差し入れしまくってくれた。

この時を思い出してしまい号泣。
多分隣の人は何故このシーンで泣いてるか不思議やったやろうなぁ。

あと色んな音楽に影響されてコナー達のファッションが変わって
いくところなんて「高校時代の私!」と共感しまくり。

以前DEAD ENDで書いたように制服だけど逆毛登校や
レベッカにはまった時はノッコのポニーテール、ピストルズに
はまった時は前髪だけ器用にツンツンできる髪型にしてました。

多分コナー達はお金のない中で必死で格好を真似してたんだ
と思うと健気。

私はみんなと同じが嫌で自分でリメイクしたり、作ったりして
LIVEで目立つ格好してました。

妄想シーンは「ウエスト・サイド・ストーリー」(髪切って格好いい
兄ちゃんとラフィーネに言い寄る男のナイフファイト)
「アメリカン・グラフィティ」オマージュ(50年代ファッション)の
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(実際コナーが目指したもの)

バリーの暴力もコミュニケーションの仕方が判らなかっただけ?
あの親の元に育てられてきたら、まともな会話の手段も知らないまま。

そんなバリーの腕っぷしの強さを見込んでトラブルメーカーの彼を味方に
つける、コナー達にとっては「ギグ」(懐かしい呼び方、うちらの時代は
LIVEではなくギグやった)を成功させる為に、バリーにとっては
初めて人に求められるチャンスやった。

これは両方にとっていい方法やったやろう。

エイモンは母親は「大学に行ってもらいたい」と願ってるけど彼自身は
コナーに「(俺らを)ここから救い出してくれ」と言ってる。

エイモン自体も色んなしがらみを持ちながらもコナーにバンドに未来を
託してる。

ラストは無謀かもしれないけれど、二人なら大丈夫と思えた。


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