再掲

詩です。

 

オリジナル大長編戯曲『焔の道』より。

 

下矢印

 

 

 

 

 

 

『BLOODY FIELD』

 

 

 

 

 

突として闇

 

 

見上げれば 

天覆い

おびただしき傷ついた白鳥羽ばたきぬ

 

 

折れた羽根よりパラパラと

降り注ぐは

鮮血の雨

 

 

 

ヤマトの兜に

兄弟の髪に

 

紅の玉

弾け つたう

 

パラパラパラパラ

パタパタパタパタ

 

 

 

恐慌

錯乱

逃げまどう兵たち

 

崩れたら しめたもの

 

 

 

ちらりと嗤う弟の

その

濡れた唇の艶やかさよ

 

 

いつからあんな・・・

 

 

 

喉元で矢を捕らえた

 

血ぬめる指で

なかなかの射手

なかなかの腕

なかなかの敵

 

怪しにひるまぬ

その豪胆 憎からず

しかれど

 

 

護る為に 敵は刈るのみ

 

互いに私怨はなけれども

涙の代わりに血を散らし

刹那の命を交わすのみ

 

 

 

日輪よ

隠れているがいい

 

葬られ続ける

我等の歴史から

 

葬られ続ける

この 

紅(くれない)から