詩です。
『あの春で、待つ』
最後に会ったのは
去年の春か
花見をしようと
金も女も持たない同士
あてどなく川沿いを歩いたっけ
眠くなるよなあったかい日で
お前は法螺話
俺は嘘話
あこがれにちりばめて
一分咲きの桜の下を
次の橋まで
また
次の橋まで
日が落ちて
夜気の寒さにふるえながら
ふたり
来た道をマラソンで戻った
橋を超えても超えても帰りつかなくて
朧月と桜の下
穴あきボロ靴響かせながら
こんな遠くまで行くなんて
馬鹿じゃん 俺たち馬鹿じゃん
と 笑いながら
久々の電話の向こうでお前が言う
「裏切るなよ」
・・・・
なんて言葉だ なんて言葉だ
あれから何があったか知らないが
そうじゃねえ
そうじゃねえだろ?
帰って来い そんな寒い心から
戻って来い 走って来い
ここで
待ってるから
ぶん殴って
それから
「馬鹿じゃん」と笑ってやるから