オリジナル大長編戯曲『焔の道』詩作群より

再掲載です。

日る子。

 

下矢印

 

 

 

 

『悠久の少女』

 

 

 

 

黒髪舞い躍る

火焔のごと

蛇のごと

 

 

脇息にもたれすがって

ああ

このひとは

座ることすら不自由なのだ

 

 

細い 頸、 肩

衣重たげに

不吉に白い、小さな顔

 

 

顎を上げ

身を乗り出し

交信するは

彼の兄弟か

そは

慈悲か

いっそ

呪か

 

 

瞳の色

蜥蜴のように

虹躍る

流れ 走り 点滅し 変わり続ける

 

仰のき

巡らし

掻き抱き

振り払い

微かに微かに唱える

その

茜の唇

真珠の歯牙

汗ぬめる白磁の肌

 

 

生きておわすか

妖しの神よ

護り主よ

 

いつから

いつまで・・・

 

 

 

 

「焔じゃ」

 

 

黒髪の奥より

我を見据え

 

 

「焔に生じ

 焔の涯なる焔につづく

焔の、道じゃ」

 

 

不意に ヒトに変わる

かわゆらしき

儚き頼りなき

少女の笑み

 

 

「のう、鵺・・・」

 

 

 

その

清らなる

鈴の声よ

 

 

 

 

 

 

オリジナル長編戯曲「焔の道」 あらすじ