摂食障害で入院中、

他の色々な摂食障害の患者さんに出会った。



「ちょっと痩せたい」とダイエットしたら

30キロ程になってしまった

高校生の女の子。

彼女はエネルギーコントロール食の他に

高エネルギー飲料のラコールも

取らなければならないと言われていて

沢山飲めないので、プリンのように固めて

いつも食べていた。

過食症になった後は

絶飲食をしてまた再入院し

点滴をされながら

痩せるために

アイドルの曲を聞いて踊りまくっていた。

それが結構キレのあるダンスで

他の患者さんもアイドルになればいい、なんて

話していたらしい。



中学生の摂食障害の患者さんもいた。

親と離れることが嫌だったらしく

毎朝、4時半とか5時とかに

廊下をウロウロしながら親に電話をしていた。

その子は

みんなとご飯を食べたがる子だった。

食堂に知り合いを呼びみんなでご飯を食べる。

自分が一番食べていないということを

確認するためらしい。

タルタルソースがかかった鶏肉が

病院食ででれば 

丁寧にティッシュでタルタルソースを拭き取り

食べていた。



30代の摂食障害の患者さんもいた。

34キロに拘り、抜け出せないらしい。

でも、それでいいの。

と言っていた。

治す気ないのに、毎回2ヶ月ほど入院させられる。

と、嫌そうに話していた。



20代の女の子は

痩せすぎて脳が萎縮してしまった。

最近、物忘れが激しい。

脳縮んだから仕方ないよね、と言っていた。

病識がないから他人事のように。

縮んだせいなのかわからないが

てんかん発作がでるようになり

てんかんの治療もしていた。



最後に、

ガリガリで口からは何も食べず

胃瘻をしていた女の子。

胃瘻のチューブを抜いてしまい

点滴してきたものを廊下に垂れ流しにしていた。

「痩せて死にたい」

とばかり言っていてその声は老人のようにしゃがれていた。

そんな彼女が大きな声を出していたのは

面会してくる母親が

1分でも遅れてきたら

叫び、罵り、怒鳴っていた。



様々な摂食障害の患者。

みんな、それぞれ悩みがあり

発症したのだろうけど

重度になれば「死」があるのは間違いない。

ガリガリの摂食障害の女の子は

数年後に無くなっている。



「死ぬ病気なんだよ」

と、私も初診の時に言われた気がする。

それは気じゃなくて真実だ。

良くなってしまえば

あの時、ちっちゃな事に悩んでいたな

と思えるんだけど

摂食障害の人って0か100かの考えの人が

多いような気がする。

「食べる」か「食べない」か。

そして「吐く」か「吐けない」か。

少し失敗しても自分を許すことが

治ることへの近道なのかな、と

私は思っている。



私は、できない私を認めることで

だいぶ回復した。

とっても難しいことだけど。

それが簡単に出来たら悩まない。

ちゃんと聞いてくれる人を見つけた方がいい。

私は心理療法士さんに

救われた部分がある。

とにかく愚痴だらけの事をいつも聞いてくれた。

背が高くて、カッコイイ系の

女性の心理療法士さんだ。

長い付き合いで14年程お世話になった。



その間に

お互い、結婚もし、子供も産んだりしたのだから 

時の経つのが早いことに驚くばかりである。