オカメインコ ピアニストでもあるフジコ・ヘミングさんのイラストが存分に楽しめます

 

 

 

文:石津 ちひろ

絵:フジコ・ヘミング
出版社:福音館書店

 

ネザーランド・ドワーフ今日の書評

 

クラシック音楽の愛好者ならば、ピアニストのフジコ・ヘミングさんの名前を耳にしたことがあるでしょう。しかし、彼女はピアニストとしてのみならず、イラストも手掛ける才能を持っているのです。

 

私自身も過去に彼女の原画を見る機会があり、その特徴的な画風は知っていましたが、絵本にもその才能を発揮していると知り、興味津々で手に取りました。

 

アーティストの作品には、その人独自のオリジナリティが滲み出ているもの。フジコさんのイラストも、一見して子供向けではないかもしれませんが、見た瞬間に心に焼き付くような印象的な大人の絵です。彼女の特徴的なタッチや色使い、人物の描写には西洋の風情が感じられます。

 

この絵本「ネコとワルツ」は、石津さんの詩にフジコさんがイラストを添えたもの。特に、絵本のタイトルにもなっている、「猫とワルツを」は、幼い日のフジコさんがお父様とのワルツの喜びと、後の別れの悲しみを綴った詩とされています。この背景を知りながら読むと、感動がさらに深まります。

 

オッドアイ猫フジコヘミングさんのこと

 

上記から引用

東京音楽学校(現・東京芸術大学)出身のピアニスト、スェーデン人画家/建築家ジョスタ・ゲオルギー・ヘミングとピアニスト大月投網子を両親としてベルリンに生まれる。

幼き頃、帰国。以来東京に育ち、5歳から母、投網子の手ほどきでピアノを始める。また10歳から、父の友人だったロシア生まれドイツ系ピアニスト、レオニード・クロイツアー氏にも師事。クロイツアー氏は、「フジコはいまに世界中の人々を感激させるピアニストになるだろう」と絶賛した。青山学院高等部在学中、17歳でデビュー・コンサートを果たす。また、東京芸大在学中には、NHK毎日コンクール入賞、文化放送音楽賞など多数受賞。