酒井さんの描く画は一度みるとすっかり脳裏に焼き付けられてしまうような魅力があります。
作:穗村 弘
絵:酒井 駒子
発行者:株式会社 岩崎書店
2014年11月 第1版発行
私が酒井さんの数々の作品の中で特に心に留めているのは、この絵本です。
絵自体が何かを訴えかけてきて、そのメッセージが心地よく響くように、穂村さんの文字が慎重に、でも繊細に添えられています。
この絵本の特徴は
酒井さんの描く微妙に変化する絵が3枚続けられているのが特徴です。
初めの1枚目に穂村さんの短い単語が添えられていますが、その後の絵は言葉を持たず、ただ絵の中の変化だけが語る物語を生み出します。
この3枚の絵を通して、物語の核心がじわじわと明らかになり、鑑賞者は酒井さんの繊細なタッチから感じるストーリーの進行に引き込まれます。
ひとりでゆっくりと自分のペースでページをめくっていきたい。
そんな1冊です。