ある日、大人になってからこの絵本と再会した。

なんとも言えず、懐かしい気持ちになった。
ページを一枚、また一枚とめくってみると、文字などは一切ない。
でも、ページをめくる手が、何故かその次のページの内容を知っているような感覚になる。

そうだ、遠い昔、文字のないページをめくりながら、自分だけの物語を心の中で紡いでいたのだ。その感動が、今も胸の中に生きていた。
 

絵のない絵本は、不思議と深く心に刻まれている。

 

 

 

作・絵 太田 大八
『かさ』
出版社:文研出版 出版年:1975年9月

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太田平八さんは1918年、大阪の街で生まれ、ウラジオストクの風を感じて過ごした幼児期、そして長崎の街角で過ごした少年時代。そして都会の喧騒、東京へと足を運ぶ。
彼の手から生まれる絵本は数知れず。
 

この「かさ」は、太田平八さんが手掛けた初期の作品で、あのレオ・レオニの『あおくんときいろちゃん』をイメージしていた作品である。

文字を排除し、子供たちの無限の想像力に任せるという、太田氏ならではの思いが詰まっている。
 

そして私は、その構想に心の奥底から引き込まれてしまった。

 

 

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