僕は午前零時に自宅を出発し一路西へ、琵琶湖遠征に向かっていた。
年に数回行かれるかどうかの大事な夏の行事、琵琶湖オカッパリ遠征。
今年その二回目に心踊らせて、東名を西へ車を走らせたわけである。
御殿場を過ぎると気持ち的にアウェーになる。
新東名に入り気を引き締めた。
タントは心地よいターボのエンジン音を静かに唸らせ、巡航100km/hで滑るように走っていた。
スピーカーからは最近やっとカラオケで歌えるレベルまで覚えた米津玄師。
ふと便意を覚え浜松のSAに立ち寄った。
特に普段からそうしている訳でもないが、用を足した便器が何となく視界に入った。
そこは何故か赤茶色をしていた。
こんな話もどうかと思うが、通常の便なら水に沈むか浮くかの違いはあれど水の色が変わることは無い。
ん?なんだろ?
不思議に思ったがその時は大して気にもとめず先を急いだ、待ちに待った琵琶湖である。それどころではない。
現地には5:00頃到着して、釣果はイマイチだったがそれなりに釣りを楽しんだ。
便はその後出ることも無かったのですっかり忘れていた。
翌日も少し赤茶色に染ったが気にも止めることは無かった。
まあまあ楽しい釣りを終えて、スーパー銭湯に浸かり、疲れをとり、コンビニで買い出し、車中泊。
23日深夜。
ふとトイレに行きたくなり道の駅のトイレへ。
その帰り道おならが出た。
が、そのおならを出した瞬間に少し身がでた。
あれ?やばい
すぐトイレに戻りパンツをトイレットペーパーで拭くとそのペーパーが真紅に染った、次の瞬間腹に溜まっていた残りがでた。
緩い下痢な感じ。
嫌な感じがして覗き込んだ便器は予想的中、スプラッターホラーだった。
便器全体、飛び散った部分、全て鮮血に染っていた。頭の中がパニックになったがなんとか冷静にとりあえずのウォッシュレット、しりを拭き、トイレをあとにする。
な、何が起こった??
たった今自分が見たものを受け入れるのにしばらく時間が必要だった。
ここは自宅から車で5時間走った滋賀県は琵琶湖。
大量の下血。
釣りはあと1日を残している。
とりあえずググる。
と、切れ痔の説明が目に止まった。
症状がそっくりで、治療は座薬を肛門に入れるだけ。
なーんだ痔か、ならいっか。
翌朝早々から、そこそこな下血をしていたものの、「痔なら大したこともないだろう」と、釣りをつづけた。
およそ1時間半に一度のペースで便意があり、その度に下血、便器は真っ赤に染っていた。
一日の釣りを終え、帰宅の途に着く。
帰り道もやはり1時間半に1度の便意でSAの便器を赤く染めた。
家に帰ったのは23時頃だったか。
途中会社に事情を説明し、月曜に病院に行くので早上がりさせて欲しいと伝えていた。
翌日曜日には何故か鮮血の下痢は収まっていて、普通の便に血の筋ができる程度。
あまり気にもとめずにさらに翌日の月曜日には仕事に出たが、その昼間、また下血した、鮮血の下痢便だった。
仕方なく市内の少し大きな病院で診察を受けることなした。
待合室は結構な混み具合だったが、程なくして名前が呼ばれ、診察室に入った。
血液検査のあと触診。
外科の先生が意外なことを言った。
「肛門に出血が見られないからおそらく大腸だね、CTやるよ、それとこのまま入院になるけど家族の人と連絡取れる?」
寝耳に水だ、万が一ありえないことも無いからと入院施設のある病院を選んだがまさか的中とは。
CTでの診断の結果は「大腸憩室出血」内視鏡入れないとハッキリはしないが恐らくそうだろうとのこと。
詳しいことは省くが大腸の血管が破けてそこからの出血ということらしい。痛みは全くなかった。
事情を説明するといちいち驚かれる。
え?そんな前から?
え?琵琶湖に?
え?車で?
え?何しに?
え?車中泊?
え?何が釣れるの?
それは治療にも診断にも関係ないだろ
え?それでなんで向こうの病院に行かなかった?
え?そのまま帰ってきたの?
よく帰れたねえ·····
下手したら出血多量で失神して大事故になってたよ?
たまたま小さい血管で良かったねえ
荷物?ああ、車で来てるのね、それくらいは取りに行ってもいいよ、必ず戻って入院してねそうだねえ10日は出られないと思った方がいいかな
明日内視鏡やるから。
医者は簡単に言ってくれる。
内視鏡での診断も同じだった、内視鏡を使って出血部位をクリップ(ホチキスのようなもの)で3箇所止めてとりあえず完了、その後は食事療法。
と言ってもお茶と水以外絶食が三日間続いた。
入院中のあれこれはまた機会があれば書くことにしようか。
とまあ、こんな感じで8月の終わりを魚々輝cupまでキャンセルしベッドの上で過ごしてたわけで、今日、退院してきました。
やっぱり自宅が一番だ 笑