「 なぁ、何で怒ってるん? 」
「 別に怒ってへんわ。」
「 じゃあ何で冷たいん?私何かしたかな? 」
今日は久々に山田と一緒に帰る日。
わたしと山田は2年に上がる前から付き合っている。慣れ其れは、在り来たりかもしれへんけど一年の頃同じクラスやったからやと思う。
席は苗字順で" 山田 " " 山本 " やから自然と席も前後やった。まあそれがきっかけでよう喋る様になって…。
って言う流れや。
それから月日が経って喧嘩も多かってんけど結構仲良くやってて、もうわたしらは3年生になった。そして今日は高校最後の体育祭やった。
まーこれが酷い有り様でな、うちは今ムカついてんねん。
それは体育祭のお昼休憩に起こってん。みんなで弁当食べようって前から話合ってて岸野やまーちゅん、みるきー、りぽぽ、序でに山田も入れて、シート敷いてその上で自然と円を描いた形でみんなそれぞれ座り弁当を頬張っていた。
「 菜々ちゃんが作った弁当むっちゃ美味しいでっ 」
「 えー、ほんま?有難う。まーちゅん!また今度作ってあげるな。」
「 菜々ちゃーん 、疲れたから膝枕して~ 」
「 みるきー大丈夫なん?ちゃんと水分補給しいよ? 」
「 じゃあ菜々ちゃんが、飲まして~ 」
分かってる。十分、分かっとる。
ばばあやから皆の体調も気にして気遣うし、面倒見が良い事も知ってる。何時も自分より相手優先して、ほんま優しいんは知ってる。
でもな、これは流石にわたしでも頭にくるわ。
目の前で堂々とみるきーに膝枕して挙句の果てには頭まで撫でてやがる。
しかも、何やねん。
まーちゅんの弁当わたしとほぼ一緒や。そりゃ山田が作ったから同じかもしれんけどな、わたしだけでええやろ。
ましてや、うちら恋人同士やで?
あー、ムカつく。苛々しかしいひん。
それからは午後の部もずっと不機嫌のまま、山田が話掛けて来ても『 ああ。』『 …せやな。』 と一言返事で適当に返していた。
それから時間が過ぎるのはあっという間で、放課後は一緒に帰る約束で案の定あの出来事が起こった。
帰り道わたしは機嫌が直る筈もなく膨れっ面で山田よりも一歩前を足早に歩きそれに山田は着いていく為後ろからとことこと着いて来る。その間もお互い終始無言。
でも沈黙を破ったのは山田で、開口一番に聞いてきたのは『 なぁ、何で怒ってるん? 』 と何処か肯定した言い方。
確かに怒ってるよ、そりゃあんなの見せ付けられて怒らない奴が何処に居んねん。でも何故かわたしの心の中が読まれたみたいで嫌やって、山田には言われたなかった。せやから、つい反発してしまった。
「 怒ってへんのに、怒ってる言われたらこっちだって、怒りたなるわ!」
「 … ご、ごめんな? でも、彩お昼終わってからずっと目も合わせてくれへんし。わたしの事嫌いになった…、?」
不意に身体が後ろへ戻る。
山田がわたしのジャージの袖を掴んで、腕に頭傾け震える声で謝ってくる。その声から表情なんて簡単に読み取れてしまう。
… 山田は、ずるいねん。そんなん卑怯やろ。
視線向けたら涙目に溜めてこっち見てくるし、しかもそれが自然と上目遣いになってて怒るにも怒れへん。
「 阿保っ、ちゃうわ!…嫌やったんや。他ばっか行きよるから、ってか普通察しろや。 」
「 …へ?」
「 どんだけ耳遠いねん!老化進みすぎやろ。二回も言わんで。 」
「 っ ちょ、誰がババアやねん!って…彩もしかして妬いてたん? 」
「 だーっ、うるさいっ。もう、帰るで。」
頭をがしがし掻いて相変わらず鈍い山田に頭悩ませながらも悪態吐いてやけくそに怒りの理由告げた。
そしたらぽかーんと口開けて状況掴めてへんし、ほんま老化進行しとるんちゃうかと思った。
ほんで上見上げ、拳握りもう片方の手を音鳴らしながら思い出したらしくそっから漸く事の原因気付きさっきと打って変わって甘えた顔で腕しがみ付いて能天気に聞いてきよって。
図星過ぎて自分でも訳わからへんけど顔赤なるからバレへん様にしがみつく山田無視して歩き出した。
「 じゃあ、はいっ。仲直りの印、な…? 」
「っ… 」
不意にぎゅっと握り締められる手。
繋がれた手上げてこっちに見せてくる姿にもうさっきまでの怒りとか如何でも良くなってきた。
… 阿保。いちいち可愛過ぎんねん。
わたしは指絡め所謂恋人繋ぎで強く握り締めて、ポケットに突っ込んだ。
この方が山田の近くに居れるから。