2018年7作目

3月24日

『名前探しの放課後』辻村深月




最近、ずっとハマっている辻村さん。
なかなかの長編。
そして珍しく上巻で「あれ?今回の作品、合わないかも。もしかしてハズレ作品?」と思いながら読んでいた。
でも、下巻に入って読んでるとどんどん引き込まれていくー。
ものすごくイッキ読みしてしまった。
久しぶりに夜寝るのを忘れて読んでいた。

上巻
「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。―自殺、するんだ」「誰が、自殺なんて」「それが―きちんと覚えてないんだ。自殺の詳細」不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつかは、これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすならと“放課後の名前探し”をはじめる。

下巻
「あいつだ。俺、思い出した」「あいつ?」「クリスマス・イヴの終業式の日の自殺者。あいつに間違いないよ。今日、全部、思い出した」“誰か”の自殺を止めるための“名前探し”も大詰めに。容疑者を見守る緊迫感、友だちと過ごす幸福感の両方に満ちたやさしい時間が過ぎ、ついに終業式の日がやってくる。


amazon作品紹介より



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以下、ネタバレあり。













辻村さん好きなんだけど、自分はおばさんだからか正直高校生主人公でもなーと思いながら、とは言え、前の作品も高校生主人公でも面白かったし…と読み始めた。
でも。
上巻ではずっとモヤモヤ。
タイムスリップって言ってもなーとか。
色んな人たちが集まっているけど、いつかとあすなのにはまだ明かされていない何かがある感じがなんかスッキリしなくて何となく面白くない。
下巻でいつかが、河野が自殺する人だって思い出しみんなで集まっていて、仲間ってなんかいーなーと思ったけど、やっぱりどこか感情移入できない。
やっぱり今回はハズレだったかな。

思っていたけど! 
水泳大会くらいからなんかすごい面白くなってきた!
次が知りたくてたまらなくてたまらない。
そう、辻村さんはこの感覚なんだよって 笑

クリスマスパーティのところからはもう本当ヤバかった。
そしてあすなのおじいさんが倒れて、最短ルートでいつかが病院まで連れて行って、病室の中でのおじいさんとのやりとり。
もう涙が止まらなくて大変だった。
家で1人で読んでいて本当に良かった。

そして次から次へと知る事実。

たしかに途中、うっすらと、自殺するのは河野じゃないんじゃない?この中の誰か、むしろいつかじゃない?とは思っていたけどまさかあすなだとは思わなかった。


そしてエピローグ、『ぼくのメジャースプーン』を読んでいたからこそわかる事実!
(実際はネタバレみて、そういうこと!ってハッキリとわかった 笑)
『ぼくのメジャースプーン』のぼくが秀人。
ふみちゃんが椿!松永くんは気がついてたけど、(他にも『ぼくのメジャースプーン』の子たちが出てきてる。)
いつかのタイムスリップではなく、秀人が“力”を使ったんだ。

なるほどーとネタバレを読んでそう思ったけど、ほとんどのネタバレには秀人の力で…って書いてあるけど、私はなんかそれだけではしっくり来ない。
いつかはタイムスリップも本当にしている気がする。
上巻にプロローグもあるし。
いつかは3ヶ月先の未来も見ていたんだと思う。
タイムスリップなんて現実的じゃないけど、秀人の力だって現実的じゃない。
物語だから良い。
秀人の力にも掛かり、タイムスリップもしている。
ただそれにより、いつかは本当に大切なものがわかるようになったんだと思う。

読んでる時は、河野が変わっていくのを楽しみに読んでいたけど、ダメな河野は演技。
本当に鍛えられていたのはいつかだったんだな。


やっぱり色々と奥が深い辻村さん。
面白い!

2回読むと2回目は「本当のこと」を知ってるから違った読み方ができるらしい。
ほかに読みたい本が溜まっているから今は読まないけど、また今度読もうと思う。

ってか、辻村さんの本は全て読み直しだなー笑