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※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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Side:A
 

 

 始業のチャイムが鳴り響く中、3段飛ばしの全速力で屋上へと続く階段を駆け上がった。
 その勢いのまま大声で扉を開け放つ。

 

 

A「カズくんっ!!どこにいるの!?」

 

 

 太陽のまぶしさに思わず目を眇めたけど、左手で太陽を遮りながら屋上へ出た。
 探して探して、でも目の前に広がる視界の中にはいなくて、その事実に焦って馬鹿みたいに右へ左へと何回もカズくんの名前を呼びながら探す。

 

 

 

A「……っ!?」

 


 ふいに気配を感じた、後ろから。

 

 そしてようやく思い出す。
 目の前だけが屋上スペースではないことに。

 飛び出してきた建物の裏側目掛けて踵を返した。

 

 

 

 

 

 


A「カズくんっ!!」

 


 やっと、見つけた。
 コンクリートの上で、おれに背を向けて丸くなっているカズくん。

 

 


A「カズくん?」

 


 まだ距離は遠いけど呼びかけに答えないことに不安を覚え、大慌てで近づいた。
 そして、その惨状に……気づく。

 

 

 

 

 

 

 

 


 片方脱げた上靴。

 

 弾け飛んだシャツのボタン。

 

 ずり上げただけのズボン。

 

 肌に残るたくさんの擦り傷。


 そして、コンクリートの上に飛び散った赤い血と白い――。

 

 

 

 

 

A「カズくんっ!?」
N「……」
A「起きて!」
N「……」
A「返事して!カズくん!」
N「…ま……くん…」

 


 とっさに抱き起こして、生きていることを確認して安堵した。
 カズくんは一瞬体をこわばらせたけど、おれだと認識して体の力を抜いた。

 

 

 

 


N「ごめんね、ボク……」
A「帰ろう」

 


 言葉を発しかけたカズくんを遮る。
 自分のシャツをカズくんに着せ、ズボンのベルトをしめて慎重に背負った。
 カズくんは嫌がったけど、力づくではなく、お願いして背負われることに納得してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何があったかなんで、聞くまでもない。
 怯えの残る目とおれのTシャツをつかむ手が痛々しかった。