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※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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Side:N

 

 


N「寒いっ!」
O「冬だからな」

 

 

 お互い息をするだけで空気を白くしてしまう夜明け前の激寒な時間帯。
 さっきから文句しか言ってないオレを気にすることなく、すでにぬるくなってるであろう缶コーヒーで暖をとる隣の男は何が楽しいのかニコニコしている。

 

 

O「あ……」
N「どうした?やっと帰る気になったか?」

 


 少しだけ期待を込めて見つめれば、何やら自分の体をごそごそと探り始めた。

 


N「何やってんの?」
O「あった♪」

 


 問いかけたオレの眼前に答えとばかりにリーダーはある物を突き出してきた。

 

 


O「このカイロ、すっげぇあったかいんだって♪」
N「……」
O「そういえば翔ちゃんに『風邪ひかないようにね』って、ドームでもらってた」
N「……」
O「ニノ?」

 


 リーダーの手に握られていたのは、普通のカイロよりも高温になる激熱カイロ。

 

 

 

 

N「もってんなら最初から出せやっ!」
O「忘れてたんだから仕方ねえだろ」
N「激寒で失われたオレの体温を返せ」
O「ああ♪体温なら後でたっぷり分け与えて……」
N「新年早々下ネタはいらねえ」

 


 怒鳴りながらぶんどったカイロを開封してリーダーに投げ返した。
 じっと見つめるリーダーの前で掌を出し、確信をもって命令する。

 


N「だせよ。どうせもう一個あんだろ」
O「うん♪」

 


 用意周到な翔ちゃんが1コだけ渡すなんてことはあるわけがないとふんだオレのカンは正しかった。

 

 

 

 

 

 

 遡ること3時間前――。

 

 

 白組司会という大役を終えたオレは、カウコンを気にしつつもほぼ強制参加の紅白の打ち上げに参加した。
 これも司会の仕事の一環だということは重々承知してたから、不平も不満も言わず坦々とホスト役を務め、出演者のお見送りまで完璧にこなした。

 ようやく肩の荷が下り、帰途につこうとマネージャーの送迎車に乗ったら、そこには千手観音をめっちゃめちゃ楽しんでた奴が絶対に今まで寝てただろって顔であくびしてた。

 

 

 


N「あんた、何してんの」
O「ふぁぁ、にのぉ、おつかれぇ」

 


 半分寝てるコイツに聞いても埒が明かないと判断し、マネージャーを問い詰めようとしたところで先手を打たれた。
 「出発します!」の掛け声にかぶせての爆音BGM。

 

 さすがオレのマネージャー。
 よくオレのことを理解してんじゃねえか。

 

 


 その後、恒例の事務所ご用達の神社で初詣をし、順路からリーダーの家に向かっていることはわかったが、さすがのオレも疲れ切っていて『自宅へ帰る』などというリーダーとの押し問答はできず、コンビニにだけ寄ってもらった。
 リーダーん家でひと眠りし、場合によっては一戦交えることも覚悟して、「そん時はオレはまぐろになる」って新年早々おかしな誓いを立ててリーダーのマンションのエントランスをくぐった。

 


 なのに、着いた先は――、

 

 

 

 

 

 

 

 屋上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


N「日の出なんていいから早く家にあげろよ」
O「もうちょっとだから待てって」

 


 あまりの寒さに癇癪を起こし始めたオレをなだめるためか唇を寄せてきた。
 ごまかされるもんかって直前で避けたのに、追っかけてがっちりと顎を掴んで強行されたキス。

 


O「2018年初ちゅうだ♪」
N「あほ//」
O「ふへっ」
N「……ねえ」
O「んー」
N「なんで初日の出なんだよ」

 


 お互い東を向いたまま、ココに連れてこられた時から思っていた疑問をぶつけた。

 

 

 


O「なんで……」
N「……」
O「……」
N「……リーダー?」

 

 

 ゆっくりとオレの方を向いた。
 自分の左手の手袋とオレの右手の手袋を外し、あたりまえのように指を絡めてくる。

 

 

 

 

O「年が変わる瞬間、おまえいなかっただろ」
N「ああ」
O「もうずーっと、それこそ何年も年が変わる瞬間はおまえと一緒だったから、なんか落ち着かなくて」
N「あぁ、それはまあそうだね」
O「だろ?やっぱおまえもそうだよな」

 


 同意すれば、リーダーの顔がほころんだ。
 実際、オレも同じことを感じていたからね。

 

 

O「だから、毎年してたことが出来なかったんなら、新しいことを一緒にしたくなった」
N「それで初日の出?」
O「おう」
N「ベタだね」
O「いいじゃんか。これでも大変だったんだぞ。屋上貸切ったんだからな」
N「は?そこまでしなくてもあなたの部屋からだって見えたでしょ」
O「それじゃ特別感がでねえだろ」
N「特別感て……」
O「笑うな!外で二人っきりな場所なんてそうそうねえんだからな」
N「はいはい」
O「おまえ絶対わかってねえ」
N「あっ、ほら明けてきた」
O「おっ、おお……っっ」

 

 

 リーダーが前を向いた瞬間、リーダーの服を掴んで思いっきり引き寄せて唇を奪う。
 驚いた目をしたリーダーにしてやったりと思いながら塞いだ唇の隙間から舌を忍ばせた。

 

 

 

 

 

 

 


N「初日の出に見られながらのキスの方が特別じゃない?」

 


 白い息だらけの至近距離。
 濡れた唇をチロッと舐めながら問えば、あと一息で獣に変身しそうなリーダーが答える。

 

 

 

 

O「ニノとのキスは、いつだって特別だ」

 

 


Fin

 

2018年1発目のおはなしです。

久々に書いたから違和感バリバリ(笑)