※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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Side:O
 

――2006年。
 

 最近、デビュー時に感じてたようなもやもやを、ふとした瞬間に感じる。
 
 よくない傾向だと思う。
 
 そんな時は、無意識にカズを探す。
 一緒にいれば、側にいく。
 いなければ、電話をかける。
 そうやってカズの存在を実感すると、不思議と落ち着いてくる。
 
 いまのおれの精神安定にカズはかかせない。
 
 そんな時、カズが映画撮影のためにハリウッドに行くことが知らされた。
 一ヶ月以上も帰ってこない。
 ずいぶん前にオーディションを受けたことは聞いていたが、そんなに長期間だとは思っていなかった。
 
 とてつもない焦燥感におそわれた。
 理由なんて考えられないくらいに不安になった。
 こんな状態なのはおれだけなのかと思って他の3人を見た。
 
 みんな不安そうな顔をしているものの、カズを誇らしげに見ている。
 
 
 

A「おめでとう」
M「がんばれよ」
S「後のことはまかせとけ」
O「……」
 
 
 何を言えばいいかわからなかった。
 みんなの励ましのことばに頷いていたカズが、おれをみている。
 何か言わなければと、焦れば焦るほど何も出てこない。
 
 すると、カズが唇をとがらせた。
 目を見れば、潤んでいる。
 
 両手を伸ばして、俺に抱きついてきた。
 おれの首筋に顔を埋めながら、聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな小さな声でつぶやく。
 
N「……サビシイ」
 
 反射的に強く抱きしめた。
 カズもギュッと抱き返してきた。
 
 
 
 愛おしい。
 
 
 そう思った。
 
 抱きしめているカズから、寂しいとか不安の気持ちが伝わってくるから、なけなしの矜持を集めて、精一杯強がる。
 
 
O「カズ、お前なら大丈夫だ。おれがほしょうする」
N「……ホント?」
O「おう!!」
N「オレの帰り、ちゃんと待っててくれる?」
O「当たり前だ」
N「じゃあ、行く」
 
 
 ハラハラしながら見守っていた3人が、安堵の息をついたのがわかった。
 
 おれたちはお互いの存在を確かめるように、しばらくの間抱き合っていた。
 
 
 

 そして、サクラが咲く前にカズが渡米した――。