Side:A


O「今日、相葉ちゃん家行っていい?」

 仕事終わりにリーダーが、おれに聞いてきた。
 特に問題がないから「いいよ」と言う。

O「じゃあ、行こう」
A「えっ……、わかった。ちょっと待って」

 リーダーがやけに急かすから、おれは慌ててカバンに荷物をつめこんだ。

A「お待たせ!もう帰れるよ」
O「うん」
A「ねえ、ニノとケンカでもしたの?」
O「してないよ。なんで?」

 リーダーが不思議そうにしている。

A「ううん。ただ、リーダーがうちに来たがるなんて珍しいなあと思って」
O「うん。……ちょっと」

 なんだか、歯切れが悪いなとおもったが、気にすることなく楽屋をあとにした。




 ――相葉家。


A「リーダー、あがって、あがって」
O「おじゃまします」

 家について、リーダーをリビングに通してから、冷蔵庫に何があったかなと確認する。
 うん、これならおれが超得意なしょうが焼きが作れそうだ。

 だけど、念のためにリーダーに聞く。

A「リーダー、しょうが焼きでいい?」

 ――返事がない。

 リビングを見てみると、居るはずのリーダーがいない。
 おかしいな、トイレかな?


 バサッ!バサバサッ!

 あれ、寝室の方から音が聞こえる。
 なんでだ。

 そっと、足音をたてずに近づいてみる。


O「……これも!これも!あー、これもだ!」

 そこからは、リーダーの声が聞こえてきた。
 なんだ、こんなところにいたのか。
 ……って、なぜ?


 とりあえず寝室にはいったら、おれのパンツが散乱してた。

A「リ、リーダー!?」
O「あ、いいところに、パンツはここにあるだけなの?」
A「えっ、ああ。うん。そうだけど……」
O「よし!じゃあ、これは捨てる」
A「なんで!」
O「なんでじゃないっ!よくもまあ、こんなにもカズとおそろいのパンツを持ってたね」
A「はあ!?もしかして、そのためにおれんちに来たの?」
O「あたりまえ」

 悪びれる様子の無いリーダーに、脱力した。

A「リーダー、それ捨てられると、パンツが8割消える」
O「2割残ってるから安心しろ」
A「……おれのじゃなくて、ニノのを捨てればいいじゃん」
O「それはもうやった!」
A「じゃあ、おれの捨てなくていいじゃん」
O「おそろいだったっていう事実が嫌だ」

 リーダー、意外に独占欲強かったんだね。

A「おそろいが気になるんだったら、リーダーがニノとおそろいにすればいいじゃん。ってか、いっそのこと2人でパンツ共用しちゃえばいいじゃん」

 おれイイこと言ったんじゃない♪

O「それはできない」
A「なんでよ!」
O「じぶんもはいてるパンツを脱がせるなんて、萎える!」

 あはは……。
 脱がせるようなこと、してるんだね……。

 もうそれ以上は、何も言うことができなかった。


 結局、リーダーは自分の目的(ニノとおそろいのパンツを処分することね)をすませて、鼻歌を歌いながら帰って行った。


 あした、買いに行くヒマあったかなあ。
 おれはちょっと、悲しい気持ちになった。


 ――翌日。

 おれは残った2割のパンツのうちの一枚を穿いて仕事に向かった。

 楽屋には、機嫌のいいリーダーがいる。
 まあ、そうなるよね。

O「相葉ちゃん、おはよ」
A「おはよう」

 まあ、リーダーが嬉しそうならいっか♪

 前向きに考えた時、ニノが楽屋に入ってきた。

O「あっ、カズ。おはよ」
N「おはよっ」
 
 しっぽがあったら、ぶんぶん振り回しそうな勢いだったリーダーが停止する。

 唐突にニノのズボンを引っ張った。


O「おれ、こんなパンツ知らないぞ!」
N「そりゃあ、そうでしょう。昨日買ったんですから。……というか、離してくださいよ。あっ、相葉さん!」

 おれに声をかけながら、何やら自分のカバンから取り出している。
 非常に嫌な予感がする。

N「この素材すきでしょ?ちょうどいいから、相葉さんのも買っといたよ」

 邪気のない笑顔は、ニノが悪いわけではないとわかっている。

A「あ、ありがとう」

 リーダーを見るのが、……こわい。

 だって、ニノ。
 さすがのリーダーも気づくよ。

 おれらのパンツが、なんでおそろいが多いのかを。

 案の定、リーダーが暴走をはじめた――。

O「カズっ!いますぐパンツを脱げ!」
N「あんた、何血迷ってんだ!」
O「うるさい!ぬげったら、ぬげ!」
N「そしたら、ノーパンじゃんかよっ」
O「じゃあ、おれが穿いてるパンツをはけ!」
N「それは変態だ!」

 今にも自分のパンツを脱がされそうなニノが、必死に抵抗している。

 ニノ、ごめん。
 おれ、自分の身が可愛いみたい。

 リーダーのパンツ穿いていようが、白い目で見たりしないから自分で何とかしてくれ。

 おれは2人(おもにニノだけど)に気づかれないよう、そっと楽屋をでた。


Fin