私主催の稽古会に来ていただけるようになった方がいる。
高身長(私より25cmほど高い)で、独特のタイミングで打ってくる面に打たれてしまう。
一歩グッと詰めてきて、溜めて打ってくるが、この溜めのタイミングが独特で、そこから色のない面が来る(来ないときもあるから余計難しい)。
一歩グッと詰めてきたところを攻め返したり、パッと切ったり、張ったりで対処することはできるが、それだとどうしても立合全体がバタバタと忙しくなる。
彼の得意の拍子になるより前に、先、先、先と入っていく感じも、やはり立合全体がバタついてる印象になる。
はたまた、構えを崩さずにいることもできるが、これじゃ技にならない。
胸を迎え突いたとしても、背の低い私の面布団に相手の竹刀が振り下ろされるので、こんな形では納得できるはずもなく。
かといって、この独特のタイミングの面を誘い出すようにして応じ返す技も、タイミングを合わそうとするわけだから後手になる。
つまりは意図的な技の選択だし、打てても納得できる技にならない。
ここまで書いても、立合全体が相手主導の流れになってしまっているのが分かる。結果、当然に打たれる。
さてさて、どうしたものか。相手の拍子に逆らわず、相手に沿い、相手と調和しながら舞っているような流れはどこにあるのか。
意図的にならずとも無意識が打ち切る状態になるには、しばらくボコボコに素直に打たれるのがよかろう。
無意識層に彼に合う技の引き出しがないから、納得できる技が出ないのだと思う。
だからといって、対症療法的な技を身に着けてもそれでは浅はか。もっと根本的に変えねばならない課題があるはず。
さあ、面白くなってきた。また、深化のための研究材料をもらえた。
有難いこっちゃ。
精進、精進。