八段の先生に、九歩の間合いで互いに礼をする際は、「両足の踵どうしをつけなさい」と指導されたことがあります。

 

これが一般化しているのかなと思います。

 

体側の幅より足幅が細くなる逆三角形(アイスクリームのコーンのようなシルエット)になる立ち方ですね。

 

これは小学校で教わった軍隊方式の「気をつけ!」の姿勢の足の位置ですね。

「気をつけ!」は、明治維新によって取り入れられた西洋軍隊式の立ち方だと思います。

 

剣道で、九歩の間合いから蹲踞して立ち上がって構えるまでの所作は、おそらく相撲の仕切りをまねて作ったもののようにも思います。

 

現代大相撲で土俵に上がって立礼する時も、両足踵をつける立ち方のように見えます。

 

さて、ここで疑問なのが、果たしてこれは日本の武術的な立ち方と言えるのでしょうかということ。

 

「動く」が前提の立ち方において、両足の踵どうしをつけるのは、どうも抵抗があるのです。

はっきりいって前後左右どちらの方向にも動きにくい。

油断した立ち方といえます。

 

「礼法だから動くのに不利な体勢から始める」ということなんでしょうか。

蹲踞はまさにそうですから、それならば納得しないわけでもありませんが、理由をしっかり解説したものが何もないんですよねえ(全剣連の剣道講習会資料にも記載ありません)。

 

そもそも「本に書いてあるから」なんてのは、理由として却下。

もし、なにかの本に書いてあるとしても、なぜそう書いてあるのかを説明できないと理由になりませんから口笛

 

「正しくて、きっちりしているのは「気をつけ」の姿勢だ」という思い込みにしか思えません。

小学生のころから何十年もそう信じているので疑問さえ持てなくなっているだけに思います。

 

「思い込み」。これが、最も武術の上達を妨げる原因に思うのですがいかがでしょう。

 

審査されることを目標にしていない私は合理的に動きやすい自然体の足幅を錬っていこうと思います。

 

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