2021年秋に亡くなられた日本のバレエ界の指導者・牧阿佐美さんに捧げられた絵本です。作者・川島京子さんが牧阿佐美さんから伺っておられた話のようです。
約100年前、ロシア人バレリーナ・パヴロアさんが鎌倉七里ガ浜に日本初のバレエ学校を開いた話と、パブロアさんに見込まれた牧阿佐美さんの母・橘秋子さんのがんばり!日本のバレエ教育に尽力された話が描かれています。タイトルの『すなはまのバレリーナ』の「すなはま」は七里ガ浜のことですね。ちょっと疲れたなと思うとき、ふいに行きたくなる大好きな海辺です。
第二次世界大戦中、パヴロアさんはバレエ学校を続けるために「霧島エリ子」と名前を替え、着物を着て、さらに戦地慰問を願い出て中国で踊られ、その地で命を落とされたそうです。作者は「先生は、自分の名前をかえたり、戦地で兵隊の前でおどったりすることを、けっして、心からのぞんではいなかっと思う。」ときちんと記されています。
ささめやゆきさんの描くびやかなイラストは、心のひだをくすぐります。
作者・画家をはじめ、この絵本を世に送り出した方々の愛が感じられます。バレエを習っている方もそうでない方もぜひ。