兵庫県北部(豊岡市、養父市、朝来市、美方郡)は但馬(たじま)地方と言われています。

 

かつて地方行政区分だった令制国では、但馬国(たじまのくに)と呼ばれ、山陰道に属していました。

 

但馬国一宮は粟鹿(あわが)神社と出石(いずし)神社の2社です。

注:いくつかの資料で一宮の神社が異なっています。

今回は粟鹿神社をご紹介します。

 

 

 

ご由緒

 

粟鹿神社の創建は2000年以上も前といわれています。、但馬五社のひとつでもある古社。

 

「粟鹿」の名は、昔、鹿が粟を三束くわえて粟鹿山から村に現われ、人々に農耕を教えた、との言い伝えに由来します。

 

粟鹿神社にはその鹿が祀られていると伝えられています。

 

 

ご祭神や祭主などを記した『粟鹿大明神元記』写本:和銅元年(708年)があり、現在は宮内庁に所蔵されています。

 

 

 

ご祭神

 

 

◇粟鹿大神(あわがのおおかみ)

  ・・お祀りされている十一柱の神々の総称

 

主祭神(三柱)

◇日子坐王(ひこいますのおう)

  ・・第9代・開化天皇の御子。

   丹波国に派遣され玖賀耳之御笠を討伐した

   (『古事記』祟神天皇条)

 

◇天美佐利命(あめのみさりのみこと)

  ・・大国主神の御子
   天から粟鹿の地に降り立ち、国を振り固め、人々は安心 して暮らせるようになった(『粟鹿大明神元記』)

 

◇彦火々出見尊(ひこほほでみのこみと)

  ・・天照大神の孫:瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の第2子。
   初代天皇:神武天皇の祖父。山幸彦。

 

 

他八柱の神様たち 
◆ 阿波奈岐尊 (あわなぎのみこと)
◇伊弉奈岐尊 (いざなぎのみこと)
◆天照大日孁尊 (あまてらすおほひるめのみこと)
◇籠神 (このかみ)
◆鵜草葺不合尊 (うがやふきあへずのみこと)
◇月讀尊 (つきよみのみこと)
◆素盞嗚尊 (すさのをのみこと)
◇豊玉姫尊 (とよたまひめのみこと)

 

 


※ご本殿
 
境内は大杉や檜などの社叢林に囲まれ、摂社や末社が点在しています。
 

※天満宮
 
 
勅使門(ちょくしもん)
 
 
勅使門は勅使(朝廷からの使者)が神社に参向する際、出入りする門です。
国家の大難に際し、4回の勅使参向が記録に残っています。
 
現在の勅使門は約600年前に建てられ、応仁の乱の兵火も免れました。
 
 

 

社叢林と約600年前に建てられたという勅使門は市の文化財に指定されています

 

 

 

 

伊能忠孝の測量
 
江戸時代に日本各地を測量した伊能忠敬(いのうただたか)も、但馬地方に測量に来たときに、粟鹿神社に参拝した記録が残っています。
 
平成13年に江戸時代の測量などを再現したそうです。
そのときの様子や参道から発掘された街道の遺跡などが、社務所の壁にパネル展示されていました。
 

※測量再見の様子(パネル)
 
 

※子持ち狛犬
 
粟鹿神社
兵庫県朝来市山東町粟鹿2152
◇公共交通アクセス
JR山陰線  和田山駅下車、コミュニティバス「粟鹿神社前」下車すぐ *運行本数が少ないので要確認。
または和田山駅からタクシー。