佐香(さか)神社は、奈良時代に作られた『出雲国風土記』(733年)に記載のある「佐香神社」に比定されている古社です。

 

風土記の内容から、酒造り発祥の地とされています。

 

醸造の神様として酒造家・杜氏をはじめ、味噌・醤油製造の方たちからも深い信仰を集めています。

 

 

*現在は、通称、松尾(まつお)神社といいます

 

一の鳥居に「松尾神社」、二の鳥居に「佐香神社」。

ご本殿には2つの額がそれぞれ掲げられています。

 

            *二の鳥居

 

 

『出雲国風土記』

 

■『出雲国風土記 楯縫郡 佐香郷』の条には次のような説話が書かれています。

 

👉原文

郡家正東四里一百六十歩。佐香河内、百八十神等集坐、御厨立給而、令醸酒給之。

即百八十日、喜燕解散坐。故云佐香。

 

👉読み下し文

 

「佐香の河内に百八十(ももやそ)神等集ひ坐して、御厨(みくりや)立て給ひて、酒を醸され給ひき。

即ち百八十日(ももやそか)かみづきして解散(あら)け坐しき。

故、佐香と云ふ」

 

👉訳文

 

佐香の河内に180柱の神様たちが集まり御厨を建てて、酒を造り

180日もの間、宴会をし解散しました。

そのことから、この場所を佐香といいます。

 

*上記の読み下し文と訳文は、私が作成しましたので、他の資料等と異なっているかもしれません。

ご了承ください。

 

*「出雲国風土記』日御碕本

(画像は「出雲観光ガイド」HPよりお借りしました)

 

 

■延喜式 巻9・10『式内社調査報告』(927年)では

 

神社から真向かいの小境川(こざかいがわ)を隔てて、松の木の生い茂った小山を壺の内と呼び、そこが神々の酒盛りの場所と伝え、神聖な地とされている

と紹介されています。

 

現在でも、神社の近くには小境川が流れていて、小境という地名も残ってます。

 

 

 

ご祭神

 

ご祭神は

主祭神:久斯神(くすのかみ)

     大山咋命・・酒の神様で京都の松尾大社からの勧請

 

配神:天津彦彦火瓊瓊杵命、木花咲耶比売命、百八十神(ももやそがみ)

 

※堂々たる大社造りのご本殿
 
 
 
どぶろく祭り
 
毎年10月13日の例大祭では、室町時代から続いているという特殊神事「濁酒(どぶろく)祭」があります。
 
特別に年一石(180ℓ)の酒造免許を受けていて、宮司が杜氏を務め、その年の濁り酒を醸して神様へ奉納します。
 
酒造りを祝い、醸造関係者や参拝客にも造りたての「どぶろく」がふるまわれるそうです。
 
*きれいなトイレがありますので、トイレの心配ありません(←重要!)
 
 
 
発見!目玉おやじ!
 
数キロ先には、目の神様である一畑薬師があります。
 

 
漫画家・水木しげる氏に子供のころ、妖怪話を聞かせてくれ、後年の妖怪漫画家の素地を作ってくれた「のんのんばあ」は熱心な一畑薬師の信者でした。
 
水木少年も4歳の時に「のんのんばあ」に連れられて、一畑薬師にお参りに来ました。
 
最寄り駅の一畑口駅から薬師までの道筋には「目玉おやじ」のモニュメントがあります。
 
※モニュメントのあるところ
 
 
佐香神社
島根県出雲市小境町108
公共交通アクセス:
一畑電車 一畑口駅 下車徒歩10分
平田生活バスもあり(本数少ないので注意)