聞道【1】 現代アートがわからない本当の理由
11月末、那須塩原に日帰りで行ってきました。
といっても、旅行ではなく、お仕事で(笑)。
今回の来訪は、僕がプロデューサーとインタビュアーを務める
横浜美術館の無料インターネットラジオ(ポッドキャスト)番組
「ラジオ美術館 ヨコビで見つけた人たち」 の収録が目的です。
おじゃましたのは、「保養とアートの宿」を掲げ、
驚異のリピーター率73パーセントを誇り、
年間約700人もの海外客も訪れる
「板室温泉 大黒屋」 。
第16代当主・室井俊二さんに
インタビューをさせていただきました。
大黒屋は来年で創業460年、
栃木県最古の旅館だそうです。
そんな老舗中の老舗が
「現代アートをなぜ取り入れ、成功に導くことができたのか」。
今回のインタビューは、この謎を解き明かすべく実現しました。
謎の答えは、「ラジオ美術館 ヨコビで見つけた人たち」
(1月5日から全4回にわたって無料配信)で
お聴きいただきたいのですが、
その前にどうしてもみなさんにお届けしたいのが、
番組のキモとなる僕からの質問に対する室井さん(下の写真右)の答え。
【早川】アートに興味があるものの、『よくわからない』ために敬遠してしまっている
リスナーのみなさんに何かアドバイスをいただけませんか?
【室井さん】アートがわからないのは、「わかろうとしているから」。
「よくわからないよね」と言ったらそこで終わってしまいます。
大切なのは、「分かる」ではなく、「感じる」ことです。
「私にはこう見える」
「僕はこの部分が好き」
「なんだか気持ち悪い」
という自分のなかにある「放っておいても出てくる何か」を
ただ感じればいいんです。
ひと呼吸入れて、室井さんは付け加えました。
「音楽だってそうでしょう?」
彼のこのひとことで、
僕のなかにあるアート、もっと言うと「現代アート」への
抵抗がスーッと消えていきました。
大黒屋さんの館内にある現代アート1
僕が一番好きな日本のミュージシャンは、Mr.Children。
けれど、「なぜミスチルが好きなの?」と聴かれても
正直うまく答えられません。
あえて言うなら、「世の中を少し斜めに見ている歌詞」や
「現代を生きる男が持つ悩みや葛藤を見事に表現している」ところでしょうか。
しかし、そのどれもが「感覚的」で、
自分以外の誰かに話すとはできても、
「わかってもらえる」かは相手次第でしょう。
厳密に言えば、自分だけの感覚を他人に
100%わかってもらうことは不可能だと僕は思います。
だれにでもお気に入りのミュージシャンが一人か
二人はいると思いますが、
その理由は
「好きなものは好きだから」
「なぜかメロディーが心地よいから」といった
ごくごく感覚的なものではないでしょうか。
初めてそのミュージシャンに触れたとき、
演奏技法や豆知識を「ヒイヒイ言いながら」調べ、
分かろうとしましたか?(笑)
かつての僕と同じ「アート食わず嫌い」のみなさん、
「音楽の楽しみ方=『感じるままに』」ということをよく知っているのだから、
アートだって同じでいいはずです。
大黒屋さんの館内にある現代アート2
わかろうとするのではなく、「感じて」みませんか?
アートが付き合いにくい知人ではなく、気の置けない友人になりますよ。
横浜美術館無料インターネットラジオ
「ラジオ美術館 ヨコビで見つけた人たち」
◆番組詳細とダウンロード・聴取ページ
◆iTunes Store無料購読ページ
今回の室井さんへのインタビュー音声は、
1/5(水)~4週連続で配信します。
現在は、横浜美術館主席学芸員天野太郎さんへの
インタビューを配信中です!
【Facebook 始めました。人生を変える一冊のファンページも開設中です】
【インタビューした賢人の名言をつぶやいています】
【KIQTAS(キクタス)ホームページはこちらから】
【100人超の著者インタビューを無料配信中です!】