蜂蜜は昔からの健康食品 | 『日々の健康お役立ち情報とたま~に雑談』 糸島薬局 薬剤師コガのブログ

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人類は昔から滋養強壮の健康食品として蜂蜜を食してきました。

 

紀元前6千年頃のスペインではすでに野生のミツバチの巣から採蜜をしていたと言われていて、アラーニャの洞窟には採蜜をしている壁画が残っています。 エジプトの墓の中から発掘された蜂蜜は3000年以上も前のものです。古代ゲルマン民族は、蜜蜂の多産にあやかり新婚の1ヶ月は蜂蜜でできた蜜酒を飲む習慣がありました。これはハネムーンの語源ともなっているそうです。日本では平安時代に貴重品として朝廷に献上された記録が残っています。

 

蜂蜜は甘いだけではなく非常に栄養価が高い食材です。成分はブドウ糖、果糖のほか、カルシウム、マグネシウム、銅、鉄、亜鉛などミネラルやアミノ酸、ビタミンB群などを含み、その豊富な栄養素は100種類を超えます。消化吸収が良く、疲労時や病後の回復にも有効です。

 

蜂蜜には潤肺、補中、滑腸、止痛、解毒といった効能があり、生薬でも蜂蜜(ほうみつ)という名前で用いられます。肺・大腸経に効果があるので、これからの乾燥が強くなる時期に現れるせき、鼻炎や便秘に効果を発揮することでしょう。のどの痛みや声枯れに蜂蜜入りのドリンクを用いるのはポピュラーな使い方ですね。

 

蜂蜜は市販の口唇・口内薬や化粧品などにも配合されており、これは蜂蜜の消炎、抗菌、保湿作用によるもの。口内炎や火傷にも効果があります。胃の炎症を抑えて殺菌する効果があるので、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などにも用いられてきました。

 

八味地黄丸など滋養強壮の丸薬は、蜂蜜を用いて蜜丸にする。これは蜂蜜による矯味や成型の目的だけでなく、補養を加味しているのです。また、蜜炙(みっしゃ)といい生薬を炙りながら蜂蜜を加えて吸収させる生薬の修治にも用いられます。修治とは生薬の調整法であり、蜜炙を行うことで、蜂蜜の持つ潤肺、捕中、薬味矯正の効能が付加されます。鎮咳に用いるほかの生薬を蜜炙するとよいとされています。

 

さて、乳幼児には蜂蜜を与えるべきではないという話は有名です。蜂蜜は基本的に加熱などの処理を行っておらず、日本国内の製品でも蜂蜜には僅かにボツリヌス菌が含まれている場合があります。

 

1歳以上になれば腸内の環境も整い、蜂蜜に含まれる程度のボツリヌス菌は体内で繁殖することはないので安全ですが、乳児は腸内細菌が少なく、免疫力や抵抗力も弱いためボツリヌス菌が増殖して乳児ボツリヌス症になってしまうことがあるのです。これは死の危険性も伴う乳児特有の感染症です。

 

ですが、大人にとっては様々な用途を示す蜂蜜を使わない手はありませんね。特別なものでなくとも、手に入りやすいハチミツを普段使う砂糖のかわりに使うだけでも有効です。砂糖のおよそ7割の量を目安に使うと同じくらいの甘味となるとのこと。砂糖に比べてカロリーも三割ほど少なくて済むそうで砂糖にはないビタミン類をとることが出来るというメリットもあります。

 

ミツバチの一生は1ヶ月から2ヶ月。1匹のミツバチがその一生の間に集めることが出来る蜂蜜の量はスプーン1杯分だそうです。本当はとても貴重な食品です。皆さんも一生懸命働いているミツバチのことを思い浮かべて、じっくり味わっていただきましょう。