秋は陰陽五行説において肺の季節です。そして、燥邪が強まる季節でもあります。
中医学において、肺は「喜潤悪燥」という特徴があります。
これは、肺は潤いを好み、乾燥を嫌うという特徴を持っているということです。
肺は鼻やのど、気管支とつながっており、肺が燥邪の影響を受けることで、乾いたせき、たん、鼻・のどの乾燥、喘息症状など、呼吸器系の不調が出やすくなります。
のみならず、潤い不足による便秘や、アトピー性皮膚炎や肌のアレルギー症状なども出やすくなります。
中医学では、肺のもつ働きには外界より新鮮な空気を吸い、人体に必要な清気を取り入れ、体内から汚れた濁気を吐き出す、呼吸機能だけでなく、全身の気の動きの調節をし、汗や尿といった水分の代謝をコントロールすることも含まれます。皮毛(皮膚・汗腺・産毛など)すなわち、体の表面部で外邪の侵攻を防ぐ衛気の調節、維持もしています。
そのため、燥邪によって肺の潤いが不足すると、肺の機能が低下し、身体全体にさまざまな不調が現れるのです。
これらの機能は、肺が十分に潤っていることでバランスよくその役割を果たしています。
健康な肺は体液や血液といった陰液で潤っています。
秋には身体の中から燥邪を発散し、潤いを保つことが、日頃の養生において重要になるのです。